享(仲野太賀)だってかわいいじゃないか!
宮藤官九郎の作品では、朝ドラ『あまちゃん』(NHK総合、2013)でヒロインの親友、ユイを演じたが、彼女が東京に行こうとすると、なにか事件が起き、なかなか故郷から出られない、そんな役だった。
今回も、歌舞伎町から彼女は動けない。そのなかでちょっとシラケつつ役割を見つけ動き、結果、周りにやる気を与えるのである。
うまくいかない状況にもがき苦しみ、それを表に出さず、ふつふつとエネルギーを溜め込む。それが周りに伝染し、変化を起こす――。そんな役をさせると、右に並ぶ者はいない。
ただ、美しいからこそ鼻につく、あのオシャレ映画トーク。第6話で、「少なくとも役者で決めるのはありえない」と言うセリフがあったが、ブラピとディカプリオが出たら、ストーリーを選ばず必ず観る私は、「すいませんね!」とテレビに向かって突っ込んでしまった。
舞&岡本カップルが一番軽蔑するタイプの映画好きだろう。いいじゃないかそれでも!
それに、享が自分を慕っているのを知っているのに、岡本に享の悪口を言うのも気の毒だ。享は自慢話ばかりで話していても面白くないと舞は言うが、かわいいじゃないか。わかりやすいじゃないか。
「だっせーっすわ! ポルシェ、パトカーに負けましたわ!」
今回の享の名言である。JKの前で己の失恋をあけすけに語り、泣きわめくことができる、あの素直さは魅力だ。