役者として一皮むけた岡田将生…“次週もまた観たい”と思わせる演技の魅力とは? NHK朝ドラ『虎に翼』解説&感想レビュー
text by あまのさき
伊藤沙莉主演のNHK朝ドラ『虎に翼』。本作は、昭和初期の男尊女卑に真っ向から立ち向かい、日本初の女性弁護士、そして判事になった人物の情熱あふれる姿を描く。「女の情に蛇が住む?」と題した第17週では、明律大学女子部時代の同期・桜川涼子(文・あまのさき)との再会を果たす…。【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
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【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
涼子さまと玉ちゃんの絆に涙…。
「女の情に蛇が住む?」と題された第17週は、“寂しさ”が1本の軸として貫かれていたように思う。
航一(岡田将生)行きつけの喫茶店へ連れて行ってもらった寅子(伊藤沙莉)。そこはかつて寅子が女子部でともに学んだ涼子(桜井ユキ)が、女中だった玉(羽瀬川なぎさ)と一緒に営む店だった。14年ぶりの再会。戦後の華族制度廃止によって涼子の生活は様変わりしていたが、寅子の口から出てくる懐かしい名前を聞き、みなの無事と幸せに涙を流すあたり、涼子の心はなにも変わっていないようだ。まずはそのことに安堵する。
ほかの多くの人と同じように、時代に翻弄された涼子の人生。法律を学ぶという夢を諦めてまで守った“家”は、憲法の改正によってあっさりと奪われてしまった。その後、離婚し、借金返済のために屋敷と別荘を売り、残ったお金で新潟の地で店を開いた。想像を絶する苦労だっただろう。それを、「あの戦争で苦労しなかった人なんていない」と微笑みを湛えて言えるのは、間違いなく涼子の強さだ。
しかし、そんな涼子の言動に寂しそうな顔を見せる人物がいた。元女中の玉だ。空襲により車椅子での生活を余儀なくされてしまった彼女は、涼子にお世話をされる側になった。玉が言いたいことがありそうだと、寅子は早々に見抜く。こういうところは、相変わらず察しがいい。2人きりになったタイミングで話を聞くと、「わたしがいなくなれば、お嬢様は自由になれる」と玉。そして、身体障碍者用の職業訓練施設に入れてほしいと寅子に頼むのだった。