仲野太賀“優三”を思い返すと涙が出てくる…心に響くセリフに込められたものとは? NHK朝ドラ『虎に翼』解説&感想レビュー
text by あまのさき
伊藤沙莉主演のNHK朝ドラ『虎に翼』。本作は、昭和初期の男尊女卑に真っ向から立ち向かい、日本初の女性弁護士になった人物の情熱あふれる姿を描く。第9週では、終戦を迎え、残された者の苦しみと決意が描かれた。そして、日本国憲法公布により物語は第1話冒頭へとつながる…。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
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【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
日本国憲法公布により第1話冒頭へとつながった第9週
第9週は「男は度胸、女は愛嬌?」と題し、戦争を経て、寅子(伊藤沙莉)たちが直道(上川周作)や優三(仲野太賀)の死を乗り越えるまでを描いた。
月並みだけれど、改めて戦争というものがいかに理不尽に人の命を奪ったかを考えさせられる5日間だった。あんなに思い合っていた直道と花江(森田望智)の、ただ一緒に生きたいという願いすらも打ち砕かれる。子どもたちの「お父さんはお国のために戦ったんだよね」という言葉が辛い。
疎開していた寅子や花江らも東京へ戻り、岡山の学校に通っていた寅子の弟・直明(三山凌輝)も帰ってきた。直言(岡部たかし)は体調を崩しており、いまの猪爪家には男の働き手がいない。直明は大学へ行くのを諦めて、自分が働くと言い出す。それが自分のやりたいことだという直明に、どこか納得のいかない顔をしているものの、寅子はそれを口には出さなかった。