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『海のはじまり』が他のドラマより圧倒的に優れているところとは? 第10話考察&感想レビュー

目黒蓮が主演を務める月9ドラマ『海のはじまり』第10話は、夏が恋人である弥生と別れ、海と暮らしていくことを決断するも、海は転校や苗字の変化に戸惑ってしまう…。今回は、本作が他のドラマを圧倒する理由の一つ、深い人物描写に注目したレビューをお届けする。(文・野原まりこ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

祖父・翔平(利重剛)がこぼす涙…。

『海のはじまり』第10話より ©フジテレビ
『海のはじまり』第10話より ©フジテレビ

 今週も胸をえぐる展開、芝居で視聴者を引き込んだ『海のはじまり』。視聴者が放送ごとに感想をXにポストし、多くの共感が集まっていることでも本作への注目度が窺える。

 前回は、夏(目黒蓮)の彼女である弥生(有村架純)が、海(泉谷星奈)の母親になることはできないと、お互いを思い合っているにも関わらずお別れする道を選んだことに、多くの視聴者が涙した。その波はいまだに続いており、夏の選ぶ道や下す決断、一挙手一投足から目が離せなくなっている。

 そして今週、恋人と別れてまで海を暮らす道を選んだ夏が、海のために全てをなげうつ覚悟を持った姿が危うくも印象的であった。加えて、子どもの頃に、自身も親の再婚で辛い思いをしてきた夏が、海の気持ちを尊重する描写には、夏の優しさと強さが滲んでいた。

 また、これまで海と暮らしてきた祖父の翔平(利重剛)の切ない表情が深く心に残った。水季(古川琴音)を亡くし、最愛の娘が残した孫を生きがいにしてきた翔平が、夏が固辞するのも構わず「一緒に住めば良い」と強く勧める場面には、これまで朱音(大竹しのぶ)とは反対に優しく温かく寄り添ってくれたことも相まって、そのギャップが衝撃的だった…。

 そこには、セリフやこれまで見せてきた態度の奥に隠されていた人間の深みが含まれており、その人物が、物語を進めていくためだけに用意されたいわば駒的な存在ではなく、年月を重ねてきた1人の人生を想像させられた。

 本作は、そんな深い人間描写がとても魅力的だ。人間誰しも辛い過去や、表面上には見えない弱さを抱えて生きている。本作では、立場上、主人公の夏へ鋭い言葉が向けられるシーンが多いきらいがある。しかし、その言葉の一番深いところには、大事な人への愛が隠れている。

 回を重ねるほどに、登場人物への感情移入が激しくなっており、残り2話にしてすでにロス感が怖くなっている…。

(文・野原まりこ)

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