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“夏”を演じる目黒蓮が心配になる…難役を見事にこなす繊細な演技とは? ドラマ『海のはじまり』第11話考察&感想レビュー

目黒蓮が主演を務める月9ドラマ『海のはじまり』。第11話は、いよいよはじまった、夏と海の二人暮らしの様子が描かれた。しかし、早くも水季の面影をめぐって衝突してしまう。海のある一言によって傷つけられた夏が流した涙に、同情の声が集まった。今回は不憫すぎる夏に注目だ。(文・野原まりこ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

目黒蓮の芝居がリアルすぎて…。
夏に同情する視聴者が多数

『海のはじまり』第11話より ©フジテレビ
『海のはじまり』第11話より ©フジテレビ

 2023年冬ドラマ『いちばんすきな花』の今田美桜がサプライズ出演した『海のはじまり』第11話。製作チームの粋な計らいに、SNSは大きな盛り上がりを見せた。

 しかし他方で、物語は切なすぎるのだった…。今回は、海(泉谷星奈)の居場所をめぐって周囲の人々の感情が激しく揺さぶられた。朱音(大竹しのぶ)が鍋を抱えながら涙を流すシーンや、海が水季(古川琴音)と過ごした思い出の場所に帰ってしまう場面には、涙腺を刺激された。

 しかし、それ以上に今回も、夏が精神的に追い込まれる展開が続き、SNSではやりようのない憤りを感じた視聴者の悲痛な声が散見された。

 個人的には、夏は水季(古川琴音)に振り回された一人であると感じる。夏は水季から一方的に別れを告げられ、それでも前向きに生きてきた。突然、自分に子どもがいるとわかった時も、逃げも隠れもせず、少しずつではあるが海に向き合うとしてきた。そんな夏に対する周囲の人々のあたりは、少々強すぎるように思える。

 夏は、自分の大切なものを投げ出してまで、海を暮らすことを選んだのだ。少しくらい褒められてもいいはずだ。

 夏は、大好きだった大学時代の恋人・水季(古川琴音)に一方的に振られ、海が生まれたことも知らされないまま突然、自分の娘に向き合うことになる。それどころか、怖すぎる義母と、水季と恋人になれなかった同僚の津野(池松壮亮)に辛くあたられる…。極めつけは、恋人の弥生(有村架純)と海の間で板挟みになり、海を選んだかと思えば、今度はその海にも「いなかったのは夏くんじゃん」と、これまで一緒に過ごしてこなかった時間を引き合いに出され、責められてしまう…。

 状況を整理しても、夏に落ち度はないように思える。それでも夏は周囲の人々に逆ギレすることなく、あらゆる理不尽を引き受けようとする。1人静かに涙を流す場面では、そうした夏の意志がひしひしと伝わった。

 目黒蓮はそんな夏を繊細に演じており、つい役柄と素の目黒の境目を見失い、観ていて心配になるほど。海を見つめる目からは愛が溢れていて、目からこぼれ出た涙には、海を悲しませた罪悪感が滲んでいた。

 フィクションであるにも関わらず、リアルすぎる芝居のせいなのか、他の夏ドラマに比べてSNSに投稿されている視聴者の感想にも熱気がある。来週はいよいよ最終回を迎えるが、不憫すぎる夏に幸せは訪れるのか。固唾を飲んで見守りたい。
 
(文・野原まりこ)

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