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「技能賞」2人目は
警視庁公安部 新庄浩太郎役・竜星涼

竜星涼『VIVANT』第4話より(C)TBS
竜星涼VIVANT第4話よりCTBS

「技能賞」もう一人は、公安に在籍しながら、テントのモニターだった新庄を演じた竜星涼は外せないだろう。竜星に関しては、筆者が個人的に”MVP”を授与したいほどの衝撃を与えてくれたため、記述が特に多くなってしまうことを先にご容赦いただきたい。

乃木ら別班への尾行を、幾度にも渡り失敗し、視聴者からは“ポンコツ”と揶揄され、裏切り者考察でも名前が挙がっていた新庄。しかしながら、最終回、日本に護送されてきたベキらテント幹部メンバーをかくまい、かつてベキとその家族を見捨てて結果、出世した内閣官房副長官の上原史郎(橋爪功)への復讐を果たすためのミッションは完璧にこなしてみせる。

その間、テントのメンバーの動きを追うために「ブルーウォーカー」が一斉送信したスパイメールを開封し、テントのモニターであることが判明してしまうわけだが、相変わらずの“ポンコツ”ぶりが現れてしまったのか、それともあえて自分がテント側の人間であると分からせたのか、真相が曖昧なまま海外逃亡し、姿を消す。

竜星の出世作にして、テレビドラマ初主演は、2013年から放送された『獣電戦隊キョウリュウジャー』のキョウリュウレッド(桐生ダイゴ)役だ。その後、テレビドラマを中心に経験を積み、パリコレデビューも果たすなど、順調にキャリアを積み重ねていった。

その中で、筆者が特に強烈な印象を受けた役柄は、2022年前期のNHK朝ドラ『ちむどんどん』での、比嘉賢秀、通称“ニィニィ”役だ。ケンカばかりで高校を中退、その後も定職に就かずギャンブル三昧、加えて、投資詐欺に引っ掛かったり、ねずみ講に関わったりと、周囲に迷惑をかけまくるキャラクターで、視聴者を朝からイライラさせた。

続いて主演したフジテレビ系ドラマ『スタンドUPスタート』では、“訳アリ”の人物たちを再生させていく「人間投資家」という謎だらけのキャラクターを演じた。ここで、『ちむどんどん』で染み付いた怪しげな印象を逆利用するかのような演技を見せたのだ。

戦隊ヒーロー出身の俳優は、その優等生イメージから脱却できずに、役柄も限られ、ブレークできずに終わる例も多い。ところが彼は、数多くの作品において、様々なキャラクターを演じ分ける器用さを持ち合わせている。

長身の二枚目でありながら、どこか腹に一物持っているかのような表情の豊かさもあり、モデル、さらには声優としても活躍している。

そんな彼だからこそ、裏切り者という汚れ役にピタリとハマったといえよう。公安の中で、野崎の忠実な部下として働いていた頃から、我々視聴者をまんまと騙していた彼にはピッタリな賞だろう。

「技能賞」で挙げた2人は、既に俳優として実績があり、さらに30代前半の若さで、今後も活躍が期待できる2人だ。甲乙つけがたいが、最後の最後まで、視聴者を欺いてみせた竜星に軍配を上げたい。

(文・寺島武志)

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