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もっとも泣ける“神シーン”は…? ドラマ『VIVANT』名場面ベスト5選。2023年最高のドラマの稀有な魅力を深掘り考察

text by 寺島武志

2023年最も日本を沸かせたドラマ作品といえばやはり『VIVANT』(TBS系)だろう。12月よりNetflixでの配信がスタートし、大晦日より全話一挙再放送が予定されているように、まだまだ冷めやらぬ「VIVANT」熱。今回は、全10話の中から記憶に残る名シーンTOP5を独断で選出し、改めてご紹介する。(文・寺島武志)

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作品の壮大な世界観を知らしめた名シーン

第5位 バルカ警察に追われ大使館に逃げこむ乃木たち(第1話)

『VIVANT』第1話より ©TBS
VIVANT第1話より ©TBS

第1話、乃木憂助(堺雅人)が所属する丸菱商事で約140億円の誤送金問題が発生する。間違えて振り込んだとされる金を返してもらうため、乃木は相手の会社があるバルカ共和国へ向かうが、相手方にはテロ組織が絡んでいる疑惑が発覚する。そのテロリストに会いに行く途中、タクシーの運転手に騙され砂漠で遭難するが、現地の父娘・アディエル(ツァシケル・ハタンゾリク)とジャミーン(ナンディン・エルデネ・ホンゴルズル)に助けられる。

なんとかテロリストにたどり着くも、相手は乃木の目の前で自爆してしまう。これにより乃木は、バルカ警察にテロリストだと勘違いされ追われるハメになる。

乃木は、公安の野崎守(阿部寛)、現地の医師・柚木薫(二階堂ふみ)、野崎をサポートするドラム(富栄ドラム)の4人とともに、チンギス(バルサラハガバ・バトボルド)をリーダーとするバルカ警察に追われ、障害物として置かれた車をダンプカーで突き破り、さらに車外に出て、車の屋根を走り伝いながら、命からがら日本大使館に逃げ込む。

この通常の民放ドラマのスケールを逸脱した壮大な逃亡劇に、度肝を抜かれた方は多いのではないだろうか。第1話でこれほどのものを見せられてしまったら、続きを追わずにいられない。勿論、筆者もその一人だったことは言うまでもない。

このシーン、当初はスタントを起用する予定だったが、阿部がやる気満々でスタンバイしていたため、堺と二階堂も自ら演じる流れになってしまったと、後に堺と二階堂が恨み節を明かしている。

モンゴルの首都・ウランバートルの中心地を通行止めにした大掛かりなロケを敢行し、その後、その道路は「VIVANT通り」と呼ばれ、本ドラマの“聖地”となった。さらに、憂助が砂漠で遭難するシーンはゴビ砂漠のホンゴル砂丘で撮影されている。

ストーリー的にはまだ序盤も序盤であり、何もここまで大掛かりにしなくとも…という気持ちもいささかするのだが、そこをあえて壮大に描くことで、本作の世界観を知らしめることに成功したのだろう。

 

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