「+αを、ぜひ実際に感じていただきたい」
中井和哉から見た作品の魅力

中井和哉 写真:武馬怜子
中井和哉 写真:武馬怜子

―――とはいえ、アクション映画ならではの派手なシーンもあるわけですが、中井さんが一番緊迫感を感じたのはどのシーンでしたか?

「一番最初にパリでテロリストの女性を追い詰めていくシーンは緊張しましたね。やっぱりいままでの日常から飛び出して、絶対にありえないところに踏み込んでいくことになるので。だからといって、やみくもに怒ったり声を上げたりという芝居をしているわけでもないことに、ジリジリと胸に迫るような緊迫感がありました。

それは、チャーリーがヘンダーソン(ローレンス・フィッシュバーン)に銃口を向けたときにも思うんですけど、いろいろな映画を観ていると、銃ってバンバン撃ってるんですよね。ラミ・マレックが人殺しの役を演じる映画なんていくらでもあるし、これからもあるんでしょうけど、実際に銃を持ったらこうなるよね、というのがすごくリアルなこととして迫った芝居でした。スパイアクションなのにこういった逡巡を入れても全然不自然じゃない。むしろそういったところがこの映画のトーンを決めているところが衝撃でしたね」

―――では、最後に、吹き替えを担当した中井さんだからこそ感じるこの作品の魅力を教えてください。

「スパイアクション映画とカテゴライズされていますから、そういうジャンルが好きな皆さんを満足させるようなハラハラドキドキももちろんあるんですけど、それだけじゃなく、僕が苦労した無言のシーンに象徴されるような+αが素敵な作品だと思うので、ぜひ劇場で浸っていただきたいですね」

(取材・文:あまのさき)

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【了】

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