十字架を背負ってしまった人たちの人間愛
『ショーシャンクの空に』(1994)
ーーーここからは、事前に挙げていただいた好きな映画を。見事に刑務所もの3連発です。ひとつ目は、不朽の名作『ショーシャンクの空に』です。
「中学生ぐらいの時に観て、初めて本当に泣いた映画でした。刑務所の中での話なわけですが、シリアスな場面展開の中で、結局そこに人間の愛があったりとか、大切なものってなんだろうと考えさせられる描写にグッときまして。
刑務所ものなのに、いい意味でのギャップを感じられたことは、10代のころの自分にとって、とても素晴らしい体験でしたね」
ーーー10代のころに理解できたのは、聡明ですね。
「いや、色々と考えさせられたんですよ。でも、人は見た目通りっていう考え方もあるけれども、その見た目の裏にある本質は、俺は違うと思っていて。刑務所に入る人たちは、もちろん悪い人たちなんですけど、最初から檻に入りたいんだって来ているやつは多分いなくて。
たった1つ『ごめんね』や『ありがとう』って言葉が言えなかったが故に、入っている人も多いんですよ。どこかで人生の歯車が狂ってしまったというか。そんな、本当は優しいのに十字架を背負ってしまった人たちの群像劇として、とても好きな作品です」
ーーー特に印象に残ってるシーンは、ありますか?
「それはもう、雨の中で半裸の主人公のアンディ(ティム・ロビンス)が手を広げて空を見上げ、その後に岩にもたれかかるシーンですかね。誰しもが思う感動的な場面だと思いますが、素直に心に残っています」