看守と受刑者の奇妙な友情
『グリーンマイル』(2000)
ーーーさらに刑務所を舞台とした、名作です。
「僕は昔、逮捕されたことはありますが、刑務所には行ったことないんですよ。留置場止まりで。本当の監獄を味わったわけではないけど、ただ、留置所にいる時に味わった孤独感などは、一緒なんじゃないかなと。自分が悪いことをしたわけなのですが、自由は全て奪われ、制約されながら生きる環境を思い出しました。僕にとっては、そういった意味ですごく入り込みやすかった作品です」
ーーー自身の経験がオーバーラップしたと。
「それもありますが、看守のポール役である主演のトム・ハンクスが、囚人のコーフィ(マイケル・クラーク・ダンカン)と共に、牢獄の中の会話で、とにかく感情がいろんな方向に振り回されているんですよね。人間の感情の極地のようだと感じれたのは、いい経験ができる映画だったなと。看守と受刑者の奇妙な友情というのも、惹かれるポイントでした」
ーーーちなみに、ご自身の経験がオーバーラップした話ですが、バンさんが思う、裏社会の表現力が最も高い作品はなんでしょうか。
「ヤクザものの最高峰は『アウトレイジ』(2010〜)ですかね。あのヤクザ社会の再現度は、凄まじいです。ヤクザ同士のやり合いも、言い合いも。それを演じる西田敏行さんたちの得も知れぬ迫力もすごいですけど。あと、警察とヤクザの裏の繋がりの描写とか。だから、色々と調べてわかってる人たちじゃないと作りえない映画に感じます」
ーーー北野映画の暴力描写は、妙に痛々しいんですよね。
「ええ。きっと、浅草での芸人修行時代に、周りにそういう方たちがたくさんいたと思うんでよね。それが当たり前に見ていた景色で、その記憶が、ちゃんと映像になっているんじゃないかなと。警察の取り調べだって、昔は暴力を振るうなんて、普通にあった話なんですよ。
ヤクザと警官の話から派生しますが、『土竜の唄』(2014~)も好きですね。ヤクザ組織に潜入捜査官として警官と、ヤクザの幹部の友情が軸になっていて。あの映画、ファイナルで終わっちゃったけど、リターンズとして続編が作られるとしたら出たいんですよね~(笑)」
ーーーご自身が準主役の映画が、今夏に公開されるとのことですが。
「ええ。『ケンカバトルロワイアル』という、僕の主催している団体を実写化した映画です。監督は千村利光さんで、殺し屋的な目が素敵な人です(笑)。関哲汰を筆頭に、栗原類、福島善成(ガリットチュウ)、板尾創路さん、いしだ壱成さんといった、ヤバい人たちが出演します。僕も今後、俳優方面にも邁進したいと思っているので、ぜひ、ご覧になってください!」
【出演情報】
『100秒の拳王-ケンカバトルロワイアル-』公式HP
(取材・文:ZAKKY)
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