識者が選ぶ、2024年で最も面白かった配信作品は？珠玉のベスト5選。年末年始に一気見したい珠玉のラインナップ

「もう、ええでしょう」が2024ユーキャン新語・流行語大賞のトップテンに選出されるなど、世間を賑わせ続ける配信作品。今回は、「ベスト・オブ・平成ドラマ！」（青春出版社）の著者であるコラムニストの小林久乃さんが2024年に配信された作品から、地上波ではお目にかかれない珠玉の5本をセレクト。それぞれの魅力を解説する。（文・小林久乃） -------------------------------- 【著者プロフィール：小林久乃】 出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ！」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。最新情報はこちら 命の儚さと向き合う、切なくも美しい物語の力 第５位 映画『The Parades』（Netflix） 長澤まさみ【Getty Images】 震災で命を失った美奈子（長澤まさみ）が、一人息子への心配が断ち切れず、死後をさまよっていた。そこに現れたのは同じくこの世に未練がある死者たち。彼らは会いたかった人を探すパレードに参加する。 全般、切なさの続く映画。生命とはなんなのかを答えの見つからない問いかけを、何度も自分に繰り返しました。というのも、この映画の配信と同時期に最愛の友人が卵巣がんという病魔に蝕まれて、死ぬか生きるかという瀬戸際に立たされる事件が...。 友人は結局、無事で今は健康に過ごしているけれど「あいつ、もし死んだらこんな世界なのかな」と、自分の環境になぞらえて泣きながら観ました。 【次ページ】 原作未読でも大満足！ 第4位は？ 原作未読でも大満足！ 映像だけで伝わる冴羽獠のキャラクター 第４位 映画『シティハンター』（Netflix） ©北条司／コアミックス 1985 おそらく男性はご存知の大ヒット漫画の実写版。主演は自分の体型を自由自在に操るストイックさで有名な、鈴木亮平さんです。実は原作は未読だけど、映像だけで充足感の高い映画でした。 たったの約２時間で主人公の冴羽獠のキャラクターは伝わってくるし、映像のスピード感に吸い込まれていくよう。悲しいシチュエーションもあったけれど、映像に身を任せているうちにあっという間に鑑賞終了。 地元の静岡県浜松市の繁華街（と呼べる規模ではないのですが）が使われたことも嬉しかったし、香役の森田望智の昭和風コーディネートも可愛らしかった！ 【次ページ】 夫婦ドラマの新たな視点 人間としての在り方を問う、夫婦ドラマの新たな視点 第３位 ドラマ『1122 いいふうふ』（prime video） 高畑充希【Getty Images】 ウェブデザイナーの相原一子（高畑充希）と、文具メーカー勤務の二也（岡田将生）はセックスレスの夫婦だけど、仲はいい。なぜなら夫は妻公認の不倫をしているからだ。全国の奥様方、怒り心頭の設定から始まる物語。夫婦だけではなく、人間としての関係性、自分の在り方などを繊細に描いた作品でした。 一子の「幸せなはずなんだけど」なぜか埋まらない心の穴がよーく分かりました。“結婚”という形にこだわるも、流れるも、知らんふりでも、全部良し！ ということを、たっぷりと教えてくれたドラマです。 ちなみに劇中の剣山の使い方が斬新だったことを書き添えておきましょう...（カグブル）。 【次ページ】 地上波では見られない大胆な演出…第3位は？ 令和の日本を映し出す、地面師たちの犯罪劇の魅力 第2位 ドラマ『地面師たち』（Netflix） Netflixシリーズ「地面師たち」Netflixにて世界独占配信中 ©新庄耕／集英社 これ作品説明いるんだろうか...と思うほど、空前のヒットとなったドラマ。東京都内の土地の所有者になりすまして、次々に金を巻き上げていく集団の物語である。 実は今年2月のNetflixの新作発表会では、激推しの作品が別にあったのです。 『地面師たち』は数あるタイトルでも中盤くらいの推され具合だったのに、配信とほぼ同時に社会現象になりました。理由は何だろう？ キャストの強さはもちろんとして、ノンフィクションであること、地上波ではお目にかかれなくなった濡れ場がごっそりあったこと...？ と色々考えますが、令和の日本らしさが詰まっていたということは理由かもしれません。 個人的に血が吹き飛ぶようなグロい作品は苦手だけど、『地面師たち』は石野卓球によるダンスミュージックの劇伴に乗せられて、一気見しまいました。音楽、大事です。 【次ページ】 栄えある第1位は？ 「ふつうの家」に詰まったドラマ、感動必至の物語 第１位 ドラマ『0.5の男』（Netflix、prime video） 松田龍平【Getty Images】 WOWOWで2023年に放送されたドラマが今年から配信された作品だけど、今年の配信動画で1番感動したのは？ と聞かれたらまずタイトルを挙げます。 主役の立花雅治（松田龍平）は40歳のニート。立花家が二世帯住宅を建築することになり、４人の妹家族と同居することになる。突然の大所帯生活に戸惑いながらも、雅治がニート脱出をしていく物語。 SNSで情報を知って何気なく見たところ、雅治の成長していく様子と、家族愛にいたく感動して２回も繰り返して観てしまいました。外から見るとふつうの家の中ほど、ドラマが詰まっている。なにもない家庭なんてない。そんなことを改めて痛感させられました。 注目は妹家族の長男、蓮を演じた加藤矢紘くん。演技が素なのか、セリフなのか分からないほど、とにかく勢いがあって良かったです。彼の演技に何度声を出して笑ったか。きっと彼は芸能界に残らなくても大物になると確信。 日本のお家芸とも言われる、暗い社会問題のニートが、初めて作品として明るい陽が差したような気がしました。一条工務店が協賛しただけあって、セットが日本のドラマとは思えないほど豪華なところも観てほしい...と見どころを挙げていくと枚挙にいとまがないので、この辺で。雅治のその後が知りたいので続編、希望。 【次ページ】 【コラムニスト小林久乃が選ぶ2024年ベスト配信作品】 【コラムニスト小林久乃が選ぶ2024年ベスト配信作品】 第１位 0.5の男（Netflix、prime video /全５話） 第２位 地面師たち（Netflix） 第３位 1122いいふうふ（prime vide /全７話） 第４位 シティハンター（Netflix /映画104分） 第５位 The Parades（Netflix /映画132分） （文・小林久乃） 【最初から読む】 コラムニスト小林久乃が選ぶ2024年ベスト配信作品5選 【関連記事】 Netflix実写版『シティーハンター』が世界的成功を収めた5つの理由＆数少ない欠点とは？ 忖度なしガチレビュー＆評価 「視聴者目線で見たことがない作品を作りたかった」Netflixシリーズ『地面師たち』大根仁監督インタビュー どこまでがリアル？ Netflix『地面師たち』が醸す“本物の凄み”とは？ 潜入ライター・村田らむが考察&評価レビュー 【了】

原作未読でも大満足！映像だけで伝わる冴羽獠のキャラクター

第４位　映画『シティハンター』（Netflix）

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