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「素の私のままでいいんだ」若年性乳がんと恋愛をテーマにした青春映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜&佐藤緋美インタビュー

text by ZAKKY

演劇ユニットiakuの横山拓也が作・演出を務めた傑作舞台劇を映画化した、『あつい胸さわぎ』が絶賛公開中だ。“若年性乳がん”と“恋愛”をテーマにした異色の青春映画となっている。今回は主演をつとめた吉田美月喜さん、映画オリジナルキャラクターを演じた佐藤緋美さんへのインタビューをお届け。それぞれが作品に懸けた想いとは…!?(取材、文・ZAKKY)

【吉田美月喜 プロフィール】

写真宮城夏子

武藤千夏役。2003年3月10日生まれ、東京都出身。近年の出演作品に、Netflixシリーズ「今際の国のアリス」(20)、「ドラゴン桜」(21)、日本テレビ系「ZIP!」内ドラマ「サヨウナラのその前に」(22)、映画『たぶん』(20/監督:Yuki Saito)、『メイヘムガールズ』(22/監督:藤田真一)、鴻上尚史作・演出舞台「エゴ・サーチ」(22)など。主演映画『カムイのうた』(監督:菅原 浩志)、『パラダイス/半島』(監督:稲葉雄介)が23年公開予定。2月25日から放送予定の日本テレビドラマ「沼る。港区女子高生」では斎藤麻里香役で出演している。

【佐藤緋美 プロフィール】

写真宮城夏子

水森崇(通称・ター坊)役。1999年12月19日生まれ、東京都出身。『ムーンライト・シャドウ』(21/監督:エドモンド・ヨウ)で日本映画批評家大賞新人男優賞を受賞。その他の出演作に、『#ハンド全力』(20/監督:松居大悟)、『DEATH DAYS』(22/監督:長久允)、『ケイコ 目を澄ませて』(22/監督:三宅唱)、ディズニープラス配信の「シコふんじゃった!」(22)など。公開待機作には『少女は卒業しない』(23/監督:中川駿)がある。HIMI として音楽活動もしており、2022年9月に3rd EP「KAERIMICHI」を配信。

役と同年代だったからこそ
役作りすることなく自然体で臨めた

©︎2023映画あつい胸さわぎ製作委員会

―――吉田さんはヒロイン・武藤千夏を演じる上で意識したポイントはありますか?

吉田「劇中の千夏は18歳で、撮影時の私も18歳でした。だから、大学生になったばかりの千夏が抱える、大人になれたんだという期待と、過渡期特有の不安が入り混じった微妙な感覚をリアルに体現できたと思います。なので、特に役作りに関して意識したことはなく、本当に自然体で撮影に望めました」

―――監督と、どのようなディスカッションをされたのかも、興味深いです。

吉田「オーディションの時点で、私自身に関する質問を沢山していただきました。どこで生まれてどう育ったのか、実際の親子関係に至るまでこと細かく話していると、千夏に似ている部分が多いことがわかってきました。そんなオーディションは初めてでしたね。クランクインしてからも、“素の私のままでいいんだ”という安心感をもって芝居に臨むことができました。今振り返ると、とても、贅沢な現場だったと思います」

―――佐藤さんは、軽度の知的障害を抱えた青年「ター坊」を演じられていますね。映画オリジナルキャラクターですが、演じる上でどのような点を意識しましたか?

佐藤「僕も過度に役作りをするのではなく、なるべくそのままの自分を出すようにしました。意識した点を挙げるなら、美月喜ちゃん演じる千夏を見ながら、役作りをしたという点。それは、今まで経験したことがありませんでした。監督からは“千夏を陰で支えている友人”という人物像を聞かされていたので、その言葉が演じる上で拠り所になりました。とはいえ、そもそも、試行錯誤すると何もできないタイプなので、美月喜ちゃん同様、例えばキリッとする表情の時も、自然体で演じました」

©︎2023映画あつい胸さわぎ製作委員会

―――出番は決して多くないながらも、映画全体の雰囲気を引き締める、重要なキャラクターだと思いました。

佐藤「ありがとうございます。とにかく、ター坊自身に対しても、ター坊から見た他のキャラクターに対しても、愛がないと演じることのできない役柄だと思いました。僕が現場に参加した日数は3日間と少なかったのですが、一瞬で現場の空気に溶け込めました。登場シーンはすべてロケ撮影だったのですが、幸い天候にも恵まれました」

吉田「え!? 3日しかいなかったの?」

佐藤「そうだよ(笑)」

吉田「いや、私の感覚では、一緒にいる間、どっちがター坊で、どっちが緋美くんかわからなくなるくらい印象的な存在だったので…。もっと長い期間、一緒にいたのかと思っていました」

佐藤「僕は、自分の撮影が終わった後に、『もう帰るのか~』と、寂しかったですね」

吉田「そうだったんだ(笑)」

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