映画『104歳、哲代さんのひとり暮らし』レビュー。100歳を超えてもウケたい…主人公に学ぶ、人に愛される心構えとは?

text by 前田知礼

映画『104歳、哲代さんのひとり暮らし』が公開中。本作は、自然豊かな町で100歳を超えてひとり暮らしを続けている石井哲代さんの生活を映したドキュメンタリーだ。今回は、哲代さんのユーモアあふれる言葉や振る舞いに注目しながら、本作の魅力を紐解いていく。(文・前田知礼)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:前田知礼】

前田知礼(まえだとものり)。1998年広島県生まれ。2021年に日本大学芸術学部放送学科を卒業。制作会社での助監督を経て書いたnote「『古畑任三郎vs霜降り明星』の脚本を全部書く」がきっかけで放送作家に。現在はダウ90000、マリマリマリーの構成スタッフとして活動。ドラマ「僕たちの校内放送」(フジテレビ)、「スチブラハウス」、「シカク」(『新しい怖い』より)」(CS日テレ)の「本日も絶体絶命。」の脚本や、「推しといつまでも」(MBS)の構成を担当。趣味として、Instagramのストーリーズ機能で映画の感想をまとめている。

「坂の街・尾道」じゃない尾道映画

映画『104歳、哲代さんのひとり暮らし』
©「104歳、哲代さんのひとり暮らし」製作委員会

 この映画の舞台は広島県尾道市。坂と猫とラーメンとしまなみサイクリングが有名な港町で、大林宣彦監督の尾道3部作(『転校生』、『時をかける少女』、『さびしんぼう』や、この夏公開の松居大悟監督の新作映画『リライト』のロケ地としても知られる「映画のまち」だ。

 しかし、今作に登場する尾道はそんな港町から車で20分。山陽新幹線が通る新尾道駅よりもさらに奥、自然豊かな山あいの地域に、この映画の主人公・石井哲代さん(104)が1人で暮らす家がある。海側ではなく山側の尾道。

 本作は、これまであまりスクリーンに映ってこなかった「尾道」の風景が味わえる、珍しい尾道映画となっている。

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