哲代さんという魅力的なキャラクター
このドキュメンタリーの1番の見どころは、主人公のおばあちゃん・哲代さんの個性的なキャラクターだ。元小学校の教員で地域の民生委員も務めた哲代さんは大のお喋り好き。頭の回転がとにかく早く、100歳とは思えないスピードでユーモアが飛び出してくる。その一部を紹介したい。
一瞬「いい人生だった」と言いかけたときの哲代さん
「いい人生だった、じゃなくて『です』。ingでいきます」
自分が「要介護1」だと知ったときの哲代さん
「(寝たきりのジェスチャーをしながら)こがーにせにゃーいけんわ」
101歳のお祝いに作業用の長靴をもらった哲代さん
「まだ作業せぇーようります」
年寄りのボケや天然ではない、「ウケたさ」から出る哲代ギャグ。100歳を超えても「ウケたい」という気持ちがあることへのかっこよさもさることながら、哲代さんのユーモアは時に相手への気遣いとしても機能する。それが特に際立っていたのが、足の痛みで立てなくなった哲代さんが、近所の人に担がれながら自宅に送ってもらった日のシーン。玄関横の椅子に座らされた哲代さんは、送迎してくれたご近所さんの軽自動車が見えなくなるまで陽気に歌いながら見送っていた。立てないほど足が痛いのに、相手を心配させまいと高らかに歌う姿に思わず涙ぐんでしまった。
哲代「沈んでもどうにもならんけぇね。ケラケラするんですよ」
いつだってユーモアを忘れない哲代さんオリジナルのオノマトペ表現「ケラケラ」。この「ケラケラ」というマインドが、彼女の周りに人が集まってくる理由なのではないかと感じた。