笑顔だけでは語れない老いと孤独
元気な哲代さんだが、徐々に「ひとり暮らし」の継続が困難になっていく。足の炎症が悪化して即入院したり、リハビリがてら親戚の家に居候したりと、住み慣れた一軒家を長く空けることになる。しかし、庭の草が伸び始めた頃に元気になって、また家に戻ってくる。
この映画は、道路から哲代さん宅に繋がる坂を下から上にカメラが移動していくショットで始まる。「家の前の坂を降りられるかどうかが、元気のバロメーター」というリリー・フランキーのナレーションと共に、転ばないよう後ろ向きに坂を降りる哲代さん。そして、映画のラストカットにも元気に後ろ向きで坂を下る哲代さんの姿がある。バロメーターに異常なし。哲代さん、104歳のひとり暮らしはまだまだ続く。
(文・前田知礼)
【作品情報】
■タイトル:
『104歳、哲代さんのひとり暮らし』
■公開表記:
2025年1月31日(金)より広島県内先行公開
同年4月18日(金)より シネスイッチ銀座ほか全国順次
■配給:リガード
ナレーション:リリー・フランキー
監督・編集:山本和宏
撮影:的場泰平 筒井俊行
音響効果:金田智子/整音:富永憲一
プロデューサー:中村知喜 古田直子 出雲志帆 髙山英幸
統括プロデューサー:岡本幸/制作:RCC
協力:RCCフロンティア/公益財団法人 民間放送教育協会 中国新聞社
後援:広島県 尾道市 府中市
2024/日本/94分/ドキュメンタリー
©「104歳、哲代さんのひとり暮らし」製作委員会