ホーム » 投稿 » 日本映画 » レビュー » 映画「告白」豪華キャスト。残酷なおとぎばなしのラストは…?<あらすじ 考察 評価 レビュー> » Page 6

告白 映像の魅力

冒頭の教室のシーンを始め、ほとんどの場面は薄暗く、冷たい色調の映像で構成されている。その一方、幸福な過去を回想するシーンではセピア色の、粒子の粗いフィルム映像が活用されており、アクセントとなっている。

構図のあり方にも強いこだわりが感じられる。構図の中心からあえて人物を外すことで、歪な印象を意図的に作り出しているのだ。歪さの表現は他の技法にも見出せる。机に突っ伏す優子へのズームアップは、途中でストップモーション化し、観る者に違和感をもたらす。また、歪みの強いカーブミラーを利用したカットが多用されることで、不穏な雰囲気を巧みに表現している。

CG技術の水準も極めて高く、使用法も極めてユニークだ。修哉の耳元でシャボン玉が割れる映像は、繊細な心の変化を見事に可視化。爆弾の破裂が逆再生されるクライマックスは、ハリウッド映画顔負けのCG技術が用いられており、見応え抜群。セピア色の炎が凄まじい勢いで画面を満たすと、冷たい色調の映像へと唐突に切り替わり、登場人物は夢想状態から現実へと一気に連れ戻される。

ここでも、冷色系の映像と暖色系の映像のせめぎ合いが、表現のインパクトを強めることに貢献しているのだ。

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