ホーム » 投稿 » 日本映画 » レビュー » 映画「台風クラブ」脚本は”意味不明”? 名匠・相米慎二監督による圧巻の演出とは?<あらすじ 解説 考察 レビュー> » Page 7

台風クラブ 音楽の魅力

複数の女子生徒が夜のプールで歌い踊る冒頭のシーンでは、日本のロックバンド・BARBEE BOYSのナンバーが使用されている。また、雨が止んだ直後、下着姿の少年少女たちが屋外で歌い踊るシーンでは、3人組女性ユニット・わらべのヒット曲『もしも明日が…。』が歌われる。

この場面では、歌の途中で校舎の明かりが消え、登場人物の1人が「誰かが死んだのかも」と不吉な言葉を呟く。その後、再び豪雨が降り出し、少年少女の歌声は澄んだ調子から怒鳴るようなトーンへと変化。自然描写と登場人物の感情が渾然一体となった、素晴らしい歌唱シーンである。

また、本作は映像面のみならず、音響面も極めて充実している。台風の訪れを知らせる雨や風の音は、外の様子を想像させる以上に、登場人物の内面世界を雄弁に語るのだ。放課後の教室で健が美智子に迫るシーンにおいて、風が電線や木の枝に衝突した時に鳴るビュービュー音は、健の心が暴力へと傾斜していくのを表現しているようであり、静かな恐怖を呼び起こす。

《主な使用楽曲》
BARBEE BOYS『暗闇でDANCE』
P.J & COOL RUNNINGSの『CHILDREN OF THE WORLD』
わらべ『もしも明日が…。』

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