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「“痛み”や“やるせなさ”を描いている作品が好き」
映画作りを推し進めるパワーの源とは?

撮影鈴木渉

―――最後に監督ご自身について伺います。どのような映画に影響を受けてきましたか?

「過去にはポップな作風の短編を監督したこともあり、明るい映画を好んでいるのではないかと思われることも多いのですが、どちらかというと、洋画邦画問わず、“痛みや“やるせなさ”を描いている作品が好きです。ジャンル限らず、答えのない問題を描いている作品や、ある種の欠落感を描いた作品に惹かれますね」

―――今仰ったテイストは『触れッドペリー』や本作に通じるものでもありますね。先ほど漫画家の萩尾望都さんのお名前が出ましたが、他ジャンルから受けた影響もありますか?

「小さい頃から、映画に限らず、音楽や漫画、ダンスといった様々な表現に触れて育ってきたので、“ある時、映画に目覚めた”という決定的な転機があったわけじゃないんです。もちろん、映画は今後もずっと撮り続けていきたいと思っていますが、表現する方法は一つに絞らず、色々探っていきたいと思っていて。

幼少時から常に頭の中がごちゃごちゃしていると言いますか、表現欲求に駆られたら手を動かさずにはいられないタイプなんです。それを取り出す手段が、ある時は絵画になったり、映画になったり、言葉になる時もあって…」

―――なるほど。様々な表現方法がある中、イリエ監督にとって映画とはどのような存在なのでしょうか?

「例えば、絵画であれば自分一人で完成させることができるので、主観性100%で作業に没頭することができます。一方、クリエイティブ・ディレクターやコピーライターとして物づくりに励むときは、自分のアイデアが世の中にどう見えるのかを常に意識する必要があって、客観的な視点で取り組んでいます。

私にとって映画は、両者のちょうど中間にある表現方法だと思っていて。『これを表現しないと苦しい』という衝動が制作のきっかけではあるのですが、映画を作り上げるには多くの人の手が必要となるので俯瞰的な視点も必要です。

私なりの言い方になってしまうのですが、“心臓の奥と俯瞰を高速で行き来する感じ”が映画作りにはあります。とはいえ、心の奥底に生じたものを表現するといっても、費用や技術面で制限が生じます。その中で、最初に思い描いた脳内イメージを、どれだけ純度を落とさずに叶えてあげられるか。それをずっと考えていますし、これから先も取り組み続けたいなと思っています」

―――今後の御活動にも注目をさせていただきます。本日はありがとうございました!

【作品情報】

出演:大山真絵子/円井わん/豊満亮 田中一平、六平直政
監督・脚本:イリエナナコ
プロデューサー:大山真絵子
共同プロデューサー:藤井宏二
撮影:JUNPEI SUZUKI
照明: 高橋亮
録音:井口慶
助監督:鳥井雄人
美術:熊澤一平
衣裳:矢田貝貴之、鈴木和人
ヘアメイク:クラークゆかり
特別協力:中島裕作
振付:小山柚香
スチール:きるけ。
デザイン:徳原賢弥
サウンドデザイン:伊藤裕規
音楽:BRADIO
制作:Libertas
©︎ 惑星ナナコス 2021| 43min| color | CinemaScope |Stereo

<WEBSITE、SNS>
作品サイト
Twitter:@shanikusaimade
Instagram:@shanikusaimade

4/14-4/21にて下北沢トリウッドで上映!

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