堂に入った神木隆之介と上白石萌音の演技に注目〜配役の魅力
本作の演技の注目は、なんといっても瀧役の神木隆之介と三葉役の上白石萌音だろう。制作時には声優俳優関わらず役に最も合う声を持つ人物にお願いすると語っている新海。本作でも、彼のキャスティングの手腕が存分に発揮されている。
まずは瀧役の神木から。子役時代から『千と千尋の神隠し』や『ハウルの動く城』に出演するなどスタジオジブリとの縁が深く自身もアニメファンとして知られる神木だが、本作ではその声優としての魅力を遺憾なく発揮している。
特に注目は三葉と入れ替わった後の演技で、神木の持ち味である軽やかで中性的な声により違和感のない自然な演技に仕上がっている。
そして、三葉役の上白石萌音にも演技にも注目。彼女は、細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』(2014年)以来2度目の声優となるが、入れ替わりだけでなく関西弁による演技も違和感なく演じており、新人らしからぬ堂に入った演技を披露している。
なお、新海は彼女の声優としての技術を絶賛し、「何百人に会っても三葉は上白石萌音さんになっていた」とまで語っている。
また本作では、他にも瀧の先輩・奥寺ミキ役に長澤まさみ、三葉の祖母・一葉役を市原悦子が好演。特に市原は、彼女のライフワークである『まんが日本昔ばなし』のナレーションを思わせる滋味深い演技を披露している。