アクション監督になるために必要なのは
物事を多面的に見る意識
―――園村さんの場合、監督の意図に不明瞭な部分があった場合、どのように対処していますか?
「アクションの演出って、言葉だけじゃ伝わらないことのほうが多いんです。例えば『殺気』という言葉一つとっても、監督が考えているものと、僕が考えているものには差異があるわけで。
その上で、認識を共有するためにビデオコンテがあるのだし、映像を使わなくても、アクションをつけた時点で監督に来てもらって、『こういう雰囲気でやってみようと思うんですけど』と逐一確認をとって進めていくことが大事です」
―――言葉で伝えられることの限界を意識した上で、いかに監督とビジョンをすり合わせるのか。それが大事になってくるのですね。最後の質問です。アクション監督を目指している方々にアドバイスをするとしたらどのような言葉をかけますか?
「アクション監督を目指すのであれば、スタントマンの経験はあった方がいいと思います。どこまでが安全なアクションで、どこからが危険なのか。その線引きを見極める力は、自身の体で経験して得るのが一番です。
心持ちという点では、物事を多面的に見ることが大事かなと思います。現場に入ると、先輩から言われたことが絶対だ、というマインドになりがちです。そんな中で仕事をしていると、先輩に怒られそうなことは予め行動の選択肢から外すようになるので、結局は一つのことしか出来なくなってしまいます。それはやっぱりもったいないですよね。
映画の観方にしても同じで、世間から面白いと言われている物だけが正解ではなく、『これはこれで面白いけど、もっと違う見せ方があるんじゃないか』と考える癖をつけること。
妄想でもいいので、『自分が演出したらもっと面白くできる』という気持ちを持つことが、アクション監督に必要なクリエイティビティを養う上で大事なのかなと思います」
(取材・文:山田剛志)
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