何も起きない。なのに笑える!?
菅田将暉の卓越したトークが光るワンシチュエーションコメディ
『セトウツミ』(2016)
監督:大森立嗣
原作:此元和津也
脚本:宮崎大、大森立嗣
キャスト:池松壮亮、菅田将暉、中条あやみ
【作品内容】
主人公は、学ランに身を包んだ2人の男子高校生、瀬戸(菅田将暉)と内海(池松壮亮)。2人は放課後に河原の階段に腰かけて、関西弁でたわいもない話しをする。
8つのショートストーリーによって構成されるオムニバス形式の作品だが、シチュエーションは毎回変わらず、土手の階段である。にもかからず、タイプの異なる瀬戸と内海によるテンポの良い会話がクセになる。原作は此元和津也による同名コミック。2017年には別のキャストでドラマ化もされている。
【注目ポイント】
菅田と同世代の俳優・池松壮亮(1991年生まれ)との丁々発止のやり取りがなんとも魅力的な作品。
ネクラでガリ勉の内海(池松)に対し、菅田演じる瀬戸は元気だけが取り柄のサッカー部員。ツンツンのヘアスタイル、細すぎる眉毛など、外見からして「あ~こんな高校生いる!」と感じさせ、観ていてニンマリしてしまう。
とはいえ、笑えるだけの作品ではない。2人の会話は学校の話題から家族の話題へと縦横無尽に移り変わるが、話を聞いているうちに、おバカなヤンキーである瀬戸にも、それ相応の悩みがあることがわかり、ホロっとしてしまう場面も。
座りっぱなしの姿勢で、お笑い芸人顔負けのトークで観客の興味を引きつける。俳優・菅田将暉の地力が存分に発揮された作品である。