行き過ぎた管理社会は排他性を強める
未来に警鐘を鳴らすストーリーに注目
ここからはネタバレを避けつつ、本作の見どころを見ていこう。
上述したように、本作が描くのは今から約90年先の未来である。現在からすると「シビュラシステム」など夢のまた夢なわけだが、本作を観ると「そんな未来、確かにあり得るかも」と思えてくる。細かいアイデアを畳みかけることで、リアリティーあふれる未来描写を行っているのだ。
昨今は、マイナンバー制度など、個人情報の管理が急速に進んでいる。新型コロナウイルスの世界的な流行がそうした傾向を加速させたのは言うまでもないだろう。このままだと 、犯罪歴がある人間を一瞬で特定できる武器・装置などは、テクノロジーが整い次第、すぐに実装化されるのではないだろうか。
しかし、本作が描くとおり、行き過ぎた管理社会は排他性を強め、他者への不寛容を蔓延らせることになる。本作が描く未来の日本は、決して絵空事ではなく、現在の日本と地続きなのだ。