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貧困にあえぐ⽇本の性差別を描く映画『遠いところ』。映画『すずめの戸締り』に出演した主演花瀬琴音インタビュー&場面写真解禁

text by 編集部

映画『すずめの戸締り』に出演したことで話題を呼んだ花瀬琴音が主演をつ務める映画『遠いところ』。工藤将亮監督が4年に渡り沖縄で取材を重ねて脚本を執筆し、全編沖縄で撮影された本作。日本公開に先立ち、海外で上映されると数々の映画賞を受賞し、高く評価された。今回は主人公・アオイを演じた花瀬琴音のインタビューと場面写真を解禁する。

「普通に生きたい」と願うも、現実から逃げることすらできない
次世代に残してはいけない問題とは

©2022 遠いところフィルムパートナーズ

工藤将亮監督長編3作目のオリジナル作品、映画『遠いところ』。
日本公開に先立ち、第56回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭で最高賞を競うコンペティション部門に日本映画として10年ぶりに正式出品、約8分間のスタンディング・オベーションを受けた。

さらに第23回東京フィルメックス[コンペティション部門 観客賞受賞]、第44回カイロ国際映画祭 [インターナショナル・パノラマ門]、第53回インド国際映画祭(ゴア)[シネマ・オブ・ザ・ワールド部門]、ヨハネスブルグ映画祭など、海外映画祭で高く評価されている。

米Variety誌が“貧困にあえぐ⽇本の性差別を、痛烈に告発する。溝⼝健⼆的な現代悲劇。”と激賞した。

©2022 遠いところフィルムパートナーズ

【ストーリー】

沖縄県・コザ。17歳のアオイは、夫のマサヤと幼い息子の健吾(ケンゴ)と3人で暮らし。

おばあに健吾を預け、生活のため友達の海音(ミオ)と朝までキャバクラで働くアオイだったが、建築現場で働いていた夫のマサヤは不満を漏らし仕事を辞め、アオイの収入だけの生活は益々苦しくなっていく。

マサヤは新たな仕事を探そうともせず、いつしかアオイへ暴力を振るうようになっていた。そんな中、キャバクラにガサ入れが入り、アオイは店で働けなくなる。

悪いことは重なり、マサヤが僅かな貯金を持ち出し、姿を消してしまう。仕方なく義母の由紀恵(ユキエ)の家で暮らし始め、昼間の仕事を探すアオイだったがうまくいかず、さらにマサヤが暴力事件を起こし逮捕されたと連絡が入り、多額の被害者への示談金が必要になる。

切羽詰まったアオイは、キャバクラの店長からある仕事の誘いを受ける―

©2022 遠いところフィルムパートナーズ

【主人公アオイ役・花瀬琴音インタビュー】

沖縄、東京で行われたオーディションで600名以上の候補者の中から見事、主演に抜擢された花瀬。
沖縄での一か月の滞在期間で一番初めに役作り取として取り組んだのは、沖縄の言葉を習得することだった。

とにかく“聞く”ことを徹底し、地元の方からも沖縄出身と間違えられるほどまで上達させた彼女は、「聞き馴染みのある標準語や関西弁を一切遮断して、ラジオなどでとにかく沖縄弁をたくさん聞いてとにかく現地の方と話すことを心がけました。聞いて、口に出して、聞いて口に出して、それの繰り返しでなんとか方言を身につけました」と振り返る。

役作りへの徹底ぶりはそれだけに留まらない。アオイの心情に寄り添うため、「なるべく人に頼らない。助けを求めない、自分の気持ちを話さない」ように自分自身を追い込んだ。「東京で心配して連絡をくれるお母さんや友達にも、一切連絡をとりませんでした。それはアオイが後半につれて追い込まれていく中で、誰にも言えない。頼れない。助けを求められないという状況に少しでも寄り添いたかったからです」と述懐する。

体当たりで臨んだ演技が世界の観客を魅了し、高い評価を得た。

花瀬が演じたアオイは17歳でキャバクラで働く一児の母。
自分とは全く違う環境に生きるヒロインを演じるために、水商売をしながら子供を育てる人や、離婚したくてもできない人たちの話に耳を傾けた花瀬は、「『遠いところ』の台本を見て、自分の話のようだと話す方が沢山いました」と、本作が描くリアルを感じとった。

そして、アオイが2歳の息子、健吾に対して抱く母としての強い愛情表現は、「それぞれの環境の中で、子供を想う母の気持ちを強く感じていました。若くても、遊びたくても、大変でも、心の真ん中にあるものは子供なんだということは、私がお話を聞いた方々が教えてくれたことでした」と彼女たちから多くのことを学び、演技の質を磨き上げていったと語っている。

映画『遠いところ』は6⽉9⽇沖縄先⾏、7⽉7⽇より全国公開

©2022 遠いところ フィルムパートナーズ

【キャスト】
花瀬 琴音、石田 夢実、佐久間 祥朗、長谷川 月起 /松岡 依都美
【スタッフ】
監督・脚本:工藤 将亮
エグゼクティブプロデューサー:古賀 俊輔 プロデューサー:キタガワ ユウキ アソシエイトプロデューサー:仲宗根 久乃
キャスティング:五藤 一泰 撮影:杉村 高之 照明:野村 直樹 サウンドデザイン:木原広滋、伊藤 裕規
音楽:茂野 雅道 美術:小林 蘭 共同脚本:鈴木 茉美

【作品公式サイト・SNS】
公式サイト
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