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スポ根的な物語と随所に光るパロディ精神

スポーツ映画の不朽の名作『炎のランナー』。『トップをねらえ!』の劇伴には同作からの影響が見て取れる。
スポーツ映画の不朽の名作炎のランナートップをねらえの劇伴には同作からの影響が見て取れるGetty Images

『トップをねらえ!』には、数多くのパロディやオマージュが散りばめられている。元ネタは、アニメ、漫画のみならず、特撮や実写映画にまでおよぶ。そもそも、タイトルは『トップガン』と『エースをねらえ!』を合わせたものだ。

とりわけ第1話はパロディ色が濃い。宇宙怪獣の襲来に備えたパイロット養成校に通うタカヤ・ノリコ(日高のり子)が、パイロット候補に選ばれたことでいじめを受ける。コーチのオオタ・コウイチロウ(若本規夫)による叱咤激励と訓練、憧れの先輩である“お姉様”、アマノ・カズミ(佐久間レイ)との交流を経て、ノリコは苦難を乗り越える。

『エースをねらえ!』を真っ先に思い浮かべるスポ根的な物語だが、鉄下駄を履くカズミなど、随所に現れるギャグ要素がパロディの印象を強めている。

それは音楽も同様だ。朝日と共にノリコが走り始めるトレーニングシーン。ここで流れるシンセサイザーを用いた音楽は、ヴァンゲリスが作曲した『炎のランナー』のテーマ曲そっくりだ。

このような元ネタを挙げればキリがなく、引用された作品の名前を書くだけで文字数が足りなくなるだろう。その中で、あえてもう一つ言及したいのは、岡本喜八監督への愛に溢れたオマージュだ。

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