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全編にみなぎる“岡本喜八リスペクト”

庵野秀明監督
庵野秀明監督Getty Images

『シン・ゴジラ』では、岡本喜八が監督した『日本のいちばん長い日』を下敷きとしているだけでなく、牧悟郎という学者の役で岡本自身が写真に映っていた。しかし、すでに『トップをねらえ!』の時点で、岡本喜八へのリスペクトが溢れている。

『アニメージュ』1997年1月号に掲載された岡本と庵野の対談で、庵野は、岡本のカット割りのテンポから影響を受けたと公言し、生涯で最も繰り返し観た映画として、岡本が監督した『激動の昭和史 沖縄決戦』を挙げている。

実際、素早いカット割りやテロップの出し方含め、『トップをねらえ!』の随所にその影響が垣間見えるが、最もわかりやすく『沖縄決戦』を意識させられるのが第5話だ。序盤、数億の宇宙怪獣が地球に迫っていることが判明するシーンで、監視衛星にいる人物が叫ぶ。

「敵の数が多すぎて、宇宙が黒く見えない。敵が七分で黒が三分。いいか、敵が七分に黒が三分だ!」

これは、『沖縄決戦』で、アメリカ軍の艦隊が海が埋め尽くさんとする光景を見て日本兵が放った、「船が七分に、海が三分。わかったか? 船が七分に海が三分だ!」という台詞のオマージュだ。

もちろん、元ネタを知らなくても、壮大なアクションシーンとストーリーに圧倒されるだろう。明るいパロディから始まった本作は、話数が進むと共にシリアスになり、スケールはとてつもなく大きくなっていく。

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