壮大な物語に結末まで目が離せない
第4話では、ノリコは大きな喪失を経験し閉じこもってしまう。しかし、宇宙怪獣の襲撃により仲間がピンチに陥ったとき、彼女はガンバスターに乗ることを決意した。
“デンドンデンドン”というティンパニーの音で始まるマーチと共に、腕組みをして戦艦からせり上がるガンバスター。“ガイナ立ち”とも言われるその立ち姿は忘られない。まさに名シーンだ。
その後に流れるのが、「ノリコ」という楽曲。ノリコが成長し主体性を確立したときに、それまでのパロディ的な曲ではなく、彼女の名前を冠した音楽でクライマックスを迎えるのも感動的だ。
続く5話では、宇宙と地球の時間のズレに悩むカズミをノリコが叱咤激励しており、1話と関係性が逆転している。カズミが再び立ち上がり、合体するシーンも特筆すべきだ。主役の二人が歌う挿入歌に合わせてハメた演出。そして、数億もの宇宙怪獣に向けて放つ大迫力の技の数々と、それに合わせて叫ぶ演技に、こちらまで熱くなってしまう。
ストーリーの核となるのが、前述した時間のズレだ。宇宙と地球の時間の流れが異なることでドラマを生む。
たとえば、5話では、宇宙にいたノリコとカズミは若いままだが、帰還すると地球では10年もの月日が経っている。そして再び宇宙に上がることに対してカズミが葛藤するのだ。この時間の差異については、相対性理論に基づく「ウラシマ効果」によって説明される。
これは、光速に近づくほど時間の進みが遅くなる現象を指す。本作で最初に「ウラシマ効果」がプロットに組み込まれたのは第2話。亜光速で動く物体を探索する際に、オオタが
「あっちで1分経つ間に、地球では3ヶ月過ぎてしまう」と説明する。
今回の上映や配信では省力されているが、1話〜4話の最後に収録されたミニコーナー、「トップをねらえ! 科学講座」では、「ウラシマ効果」をはじめとした難解なSF設定を、デフォルメされたノリコ、カズミ、オオタが解説している。こうした細かい設定が、作品に重厚さとリアリティを与えていると言えるだろう。
「ウラシマ効果」によって説明される時間のズレは、最終話にいたって途方もないほど広がっていく。その壮大な物語の結末を、ぜひ見届けてほしい。
(文・島晃一)