風と谷のナウシカ【ネタバレあり】あらすじ
トルメキアによる風の谷襲来の裏には、巨大な繭の存在があった。繭は「火の七日間」で世界を滅ぼした巨神兵の胚であったのだ。繭は元々、ペジテ市の地下から発掘され、トルメキアが強奪したものだった。クシャナは、風の谷で繭を保有し、巨神兵を完成させる算段を立てる。
明くる日、クシャナはペジテ市に戻るに際し、ナウシカと彼女を支える城オジ数名を人質にとる。旅の途中、腐海上空でペジテの軍隊が一行を急襲。クシャナとナウシカが乗った輸送機はダメージを受け、城オジたちが乗ったグライダーは腐海へと落ちていく。
ナウシカと城オジのリーダー・ミトはクシャナと共に脱出し、腐海に落ちて行った城オジたちの救出に向かう。腐海に着いたナウシカたちは、王蟲に周囲を囲まれるが、ナウシカは彼らと心を通わせ、敵意をなだめる。
ナウシカは王蟲から次の事実を知らされる。撃墜されたペジテのパイロットが腐海を彷徨っているというのだ。心優しきナウシカは、「1時間後に戻らなければ谷に帰れ」と一同に言い残し、一人でパイロットを救出しに腐海の奥深くへと足を踏み入れていく。
程なくしてパイロットの少年を発見。しかし、救出する際に、蟲の襲来を受け、ナウシカたちは腐海の底に沈んでしまう。
腐海に沈んだナウシカは、王蟲の幼生が大人たちに捕らえられる夢を見る。目覚めると、次のことに気付く。ナウシカはかつて、病気の父や村民を助けるために、腐海植物の栽培を試みたが、その時に使った井戸水と井戸の底の砂は、腐海の底の清潔な水と砂と一緒のものだった。腐海は毒素で汚染されきった大地を浄化する役割があると、ナウシカは確信する。
その後、先程助けたパイロットの少年はアスベルという名であり、大型船の墜落事故で亡くなったラステルの双子の弟であることが判明する。
翌日。ナウシカとアスベルがぺジテ市へ向かったところ、街は無残にも破壊され、市中の至るところに蟲の死骸が散乱していた。ぺジテ市民は、街に残留していたトルメキア軍をせん滅するため、蟲を利用して街ごと襲わせていたのだった。
残酷な事実を知り、呆然とするナウシカとアスベルを尻目に、ペジテ市長は、巨神兵の胚を奪うため、王蟲の群を利用して風の谷を襲わせようとしていた。
ペジテ市長が企てる卑劣な作戦の存在を知ったナウシカは、計画の中止を訴えるが聞き容れられず、風の谷に戻って危機を知らせようとしたところ、身柄を拘束されてしまう。
一方、風の谷に帰還した城オジたちは、腐海で起きた出来事の一部始終をユバに伝える。ユバはナウシカを助けるため、ミトの操縦する戦闘機で風の谷を飛び立つ。
他方、風の谷では一大事件が起きていた。残留していた胞子が森の木々に付着してしまい、瘴気を吐き始めたのだ。谷を守るためには森を焼き払うしかない。
二者択一を迫られた村民の怒りはピークに達し、暴動が巻き起こる。クシャナは、ボロボロの宇宙船で身柄を拘束されていたが、なんとか脱出し、トルメキア軍と合流。村民たちは宇宙船の中で、ナウシカの帰還を待つことに。
ペジテ市長によって飛行船の一部屋に監禁されていたナウシカだったが、アスベルの母とペジテ市民の助けにより、脱出に成功する。しかし、そのタイミングで、トルメキア兵が来襲。船内は彼らに占拠されてしまう。ナウシカは、自らを助けてくれたペジテ市民を見捨てることを躊躇するが、アスベルによって空中に押し出され、風の谷へと戻らんとする。
敵兵はナウシカを追走するが、間一髪でユバがやってきて、敵兵を倒し、船内の混乱を鎮めることに成功する。一方、風の谷では、クシャナ率いるトルメキア軍が、風の谷に総攻撃を仕掛けようとしていた。しかし、クシャナはナウシカの帰還を信じ、攻撃のタイミングを遅らせる。
日が暮れる。ナウシカたちは、風の谷に向かう王蟲の群と遭遇する。王蟲の群は、王蟲の子を吊り下げた浮揚装置・飛行ガメによって谷の方へと誘導されていたのだった。ナウシカは、小型の飛行船に乗って、飛行ガメに接近。王蟲の子を解放しようと試み、酸の湖の中州へ墜落させる。
しかし、王蟲の群れはトルメキア軍から攻撃を受け、さらに怒りを増幅させる。谷へと一直線に突き進んでいく王蟲。このままでは、風の谷は破滅するしかない。ナウシカは事態を好転させるため、中州に落ちた飛行ガメのパイロットを銃で脅し、自身と王蟲の子を群の先に運ぶように命じる。
王蟲の群が谷に近づいてきた。危機を覚えたクシャナは、不完全な状態で巨神兵を孵化させようとするが、巨神兵の体はすでに腐敗が進んでおり、たった2発の光線を放ったっきり、身を溶かせてしまう。
王蟲の子とナウシカを吊り下げた飛行ガメが王蟲の群に正面から相対する。ナウシカは群れを真っすぐ見つめるが、怒り狂った王蟲の視界にナウシカは入らず、彼女は弾き飛ばされてしまう。
風の谷の村民が身を隠す廃宇宙船に王蟲の群が襲いかかる。その寸前、王蟲の目の色が変わり、突然、静止する。身を挺して王蟲の群に立ちふさがったナウシカの思いが、伝わったのだ。
王蟲達は、ナウシカの遺体を囲み、子を群に帰してくれた彼女に感謝を告げる。そして、彼女の遺体を触手によって宙に持ち上げていく。朝日に照らされる中、蘇生したナウシカは、王蟲の黄金の触手に支えられながら歩き出す。その姿はまるで、青き衣の者の伝説の再現に映る。
その後、王蟲達は森に帰り、クシャナ率いるトルメキア兵は谷から去る。ナウシカとアスベル、風の谷の民はペジテの大人たちと協力して風車を利用した井戸を作り、子供たちは植林に励む。
ナウシカは、腐海の底に向かうユパとアスベルを見送る。ナウシカのヘルメットが腐海の底に落ちる。すると、ヘルメットの脇で、こぼれ落ちたチコの実から若木が芽生えるのだった。