ベテラン声優の卓越した表現力ー演技の魅力
ナウシカ役を演じるのは、島本須美。『ルパン三世 カリオストロの城』でクラリスを演じた女優だ。
本作のアフレコが大変だったと語る島本。宮崎からは20回ものリテイクが出されたという。とはいえ、可愛らしさと美しさの中に芯の強さを内包させた島本の声は、ナウシカにぴったりだといえるだろう。
また、ナウシカの師であるユパを演じるのは、納谷悟朗。『ルパン三世』の銭形警部をはじめ、数多くのアニメや吹替を担当してきたベテラン声優だ。納谷の声は、ユパの孤高とその中にある優しさを巧みに表現している。
なお、ジブリは次作以降、専業声優ではなく俳優やタレントを声優に迎え始める。プロデューサーの鈴木敏夫は、対談で「ジブリは日常芝居が多いので、日常の声が欲しい」と語っている。
アニメーションが、「魂や生命を吹き込む」を意味するラテン語「アニマ」を語源としていることを考えれば、宮崎は声優に「生っぽさ」や「人間性」を求めているのかもしれない。