改変ポイント⑥タケミチがもう二度とタイムループをしないかのようなセリフを言う
本来の時間軸では、場地の死によりブチ切れたマイキーが、最終的に一虎をボコボコにし、殺してしまうという、最悪の結果になる。が、タイムリープした本作の時間軸では、タケミチの制止により、何とか防ぐことに成功する。
その後、タケミチは場地の死の間際に言い残した「東卍を頼んだ…」とい言葉を受け、壱番隊の隊長に任命されるのだが、このシーンも原作と映画版とでは大きく異なる。
まずは原作から見ていこう。抗争に負けたことにより、東卍の傘下となったバルハラの半間も集会に現れ、不穏な空気を醸し出し、タケミチは焦る。そして、タケミチを壱番隊隊長に任命するのは、彼の相棒であり、本来、壱番隊を継ぐはずだった千冬である。
一方映画版では、タケミチを壱番隊隊長に任命するのは、総長のマイキーだ。そして、「俺は、もう戻らない!もう逃げない!」と、タケミチがもう二度とタイムループはしないかのようなセリフを発し、エンドロールへとなだれ込む。
この映画版のフィナーレは『血のハロウィン編』をキレイに終わらすための、最善の策だったのではないだろうか。原作ではもちろん、次のエピソードへと続いていくのだが、何でもかんでも原作通りに描いていては能がない。
しかし、シリーズ最終章と銘打った『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編–決戦』において、続編を匂わせる描写がないわけではない。それを考える上で注目したいのは、ストーリー上、カットされてもいいようなキャラクターを意味深な形で登場させているという点だ。
そのキャラとは、原作では“血のハロウィン”のあとのエピソードで、敵役として登場する「灰谷兄弟」である。彼らは、この抗争を傍観するギャラリーとして、目ざとく映されていたのだった。筆者はこれをさらなる続編を期待させる布石だと捉えた。
何はともあれ、一虎役の村上虹郎の撮影ボイコット報道から、場地役の永山絢斗の逮捕に至るまで、様々なトラブルに見舞われた実写映画版『東京リベンジャーズ』だが、興行面では大成功と言っていいだろう。また、原作ファンから見ても、改変にはしかるべき狙いがあり、すんなり受け入れられるものばかりだった。続編にも期待したい。
(文・ZAKKY)
【作品情報】
『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命』
監督:英勉
原作:和久井健
脚本:高橋泉
2023年製作/96分/日本
公式サイト
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