ジブリファンには嬉しい過去作へのオマージュも
その後、眞人は、「母があなたを待っている。死んでなんかいませんぜ」と語るアオサギに導かれるまま屋敷の裏に建つ廃墟のような洋館に立ち入る。そこは、異世界への入り口でもあった。眞人は、先立って異世界へ入り込んだ義母・ナツコを救出するために、洋館の深部に踏み入る。
異世界に迷い込んだ眞人の前には、過去のジブリ作品を想起させる様々なキャラクターが登場する。印象派の絵画を思わせる美しい画作りもさることながら、過去作へのオマージュも散りばめられており、2度、3度観ることで味わい深さを増す、素敵な細部にあふれている。
本作は、ビジュアル面やストーリー面において、これまでのジブリ作品の粋を極めているといっても過言ではないだろう。反面、ジブリファン以外の人にとっては、あまりにも目まぐるしい場面展開に困惑するかもしれない。
眞人は、異世界の番人的存在である“大叔父”に、この世を引き継いでほしいと頼まれるが、その頼みを断り、戦争中である現実世界に戻ることを決意する。“大叔父”は眞人に対し「お前の手で争いのない世を作れ」とのメッセージとともに送り出す。
その後、ナツコとともに現実世界に戻り、時が経った一家には眞人の弟も生まれており、戦争も終結したことで、再び東京に居を移すことになる。