モヤモヤ感が残るラスト
82歳宮崎駿が伝えたかったメッセージとは?
最後、疎開先の大屋敷を、名残惜しそうに後にする眞人が印象的なラストシーンで物語は終わる。実に多様な表現方法で、どのシーンにどのようなメッセージが込められているのか、1回見ただけでは分からないかもしれない。示唆に富むようなシーンが多く、すぐに“答え”を求めたい人にとってはモヤモヤ感が残る作品と評される可能性もある。
しかしながら、これが本当に引退作となる可能性の高い、御年82歳の宮崎駿である。目まぐるしい展開とラストからは、作品の解釈を鑑賞者に委ね、見た側が感じたことが即ち、その答えなのだという、メッセージが感じ取れる。
一方、この世界観が理解できない層も確実に存在するだろう。そうした層にとっては、“小難しく説教じみたストーリー”と感じるかもしれない。こういう見方も否定できるはずはない。
これまで子どもにとっても分かりやすいファンタジー作品を提供してきたジブリが、最後の最後に、理解するまでに時間と考察が必要な作品を世に放ったのだから、困惑の声が聞かれるのも当然だろう。ただただ、その映像美に圧倒されるまま終わってしまった…という鑑賞者も多いのではないだろうか。