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木村拓哉の「男のいいかげんさを体現した声」ー演技の魅力

© 2004 Studio Ghibli・NDDMT
© 2004 Studio GhibliNDDMT

本作の配役の注目ポイントは、なんといってもハウル役の木村拓哉の起用だろう。

プロデューサーの鈴木敏夫によれば、当初は木村本人からジブリ作品への希望があったが、決め手となったのは、鈴木の娘の「木村拓哉は男のいいかげんさを表現できる人だと思う」という言葉だという。実際、イケメンでありながらもどこか自由気ままに生きるハウルの姿は、木村が演じてきた役柄に重なる部分がある。

また、ソフィー役を演じるのは、『男はつらいよ』シリーズのヒロイン・さくら役でおなじみの名女優・倍賞千恵子。鈴木によれば、宮崎が倍賞のファンだったことから起用したとのことだが、少女にしては大人っぽく、老婆にしては若々しい倍賞の声は、作品に不思議な奥行きを付与している。

なお、本作には、『もののけ姫』モロ役の美輪明宏が荒地の魔女役に、『千と千尋の神隠し』坊役の神木隆之介がマルクル役に、『千と千尋の神隠し』青蛙役の我修院達也がカルシファー役にと、過去のジブリ作品の役者が多く出演しているのも特徴。

中でも最も印象的なのは、サリマン役の加藤治子だろう。『魔女の宅急便』(1989年)で老婦人役を演じていた加藤。宮崎作品ではその演技は、アニメの声としてはフラットで抑揚に欠けるが、この演技がかえって戦争に加担するサリマンの恐ろしさを浮き彫りにしている。

ちなみに、かかしのカブ役は、『千と千尋の神隠し』で番台蛙を演じた大泉洋で、大泉の所属する劇団TEAM NACSの面々も全員カメオ出演している。彼らの役を探してみるのも面白いかもしれない。

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