吉沢亮(嬴政)は原作よりも魅力的なキャラクターに昇華
カメレオン俳優として不動の地位を築いている吉沢亮。漫画原作の作品に彼が出演する場合には、あえて、こう言いたい。「カメレオンどころか、原作を超えるキャラを生み出せる俳優」だと。
現在公開中の『東京リベンジャーズ2 -決戦-』における貢献ぶりも相まって、昨今の映画業界、特に漫画実写化の分野では、吉沢亮に頼りっぱなしの事態が続いている。
第一作『キングダム』(2019)では、嬴政の影武者となる信の親友・漂の役から始まり、漂死亡後、嬴政役に切り替わるわけであるが、素朴な貧民から「若き王」にシフトチェンジする様はお見事。
『キングダム 運命の炎』では、前二作よりも活躍場面が多く、特に前ページでも触れた、王騎との会話シーンでは、並外れた集中力でシーンに緊張感を付与することに貢献。瞬きもせずに、まっすぐ王騎を見ていたかと思えば、ゆっくりと目を閉じる所作には、鳥肌が立つほどの色気が宿っている。
歴戦の猛者であり、自身よりも年上の王騎を味方・配下に従わせる有無をも言わさぬ貫禄っぷりを見るにつけ、演じる吉沢が若干29歳とはとても思えない。私見では、原作の嬴政より吉沢亮演じる嬴政の方が魅力的に感じる。この意見には多くの原作ファンが頷いてくれるのではないだろうか。