大沢たかお(王騎)に違和感を拭えないワケ
実写版『キングダム』シリーズのキャストの再現度を検討する上で、最も観る人によって意見が分かれるキャラクターの一人ではないだろうか。
遡ること2018年10月に実写版『キングダム』のキャストが発表された際、原作ファンの大半が「なぜ、王騎に大沢たかお!?」と、強烈な違和感と共に不満の声を挙げたことは記憶に新しい。
蓋を開けてみたら、どうか? 役作りのために体重を増やし、相当なビルドアップをしたという大沢。役づくりにかける努力は信を演じた山崎賢人同様素晴らしい…だが、どこか違和感がないだろうか?
正直な話、筆者は大沢演じる王騎から「ちょっと無理している感」を見出さずにはいられなかった。もちろん、演じる大沢本人の努力は凄まじいものがあり無条件で素晴らしいと思うのだが、原作ファンからすると「王騎=大沢たかお」というイメージが中々定着しないのである。その最大の理由は王騎というキャラクターの複雑性にある。
思い返すと、原作で王騎が登場した当時、読者の間で話題になったのは、「王騎がタレントのアンミカに似ている」ということであった。その点、大沢演じる王騎はたしかにカッコいいのだが、女性的な話し方をする王騎というキャラクター独特の不気味さは再現できていないように思える。
ならば、いっそのことアンミカを王騎にキャスティングすれば万事OKだったのだろうか。それはそれで原作キャラとの齟齬が生まれ、ファンから批判を浴びていたに違いない。つまるところ、信や嬴政に比べて、王騎というキャラクターが最も再現の難易度が高く、観る側は、原作のイメージを一旦忘れて、スクリーンに対峙する必要があるということだ。