「意見を言うことは悪いことじゃない」
同世代の女性監督との仕事で得た新しい考え
―――近年、前田聖来監督や安川有果監督、そして本作の夏都愛未監督と世代の近い女性監督の作品に立て続けに出演されていますね。そうした経験はどのような影響を与えていますか?
「実は本当にたまたまなんですよね。でも凄くありがたいことだと思っています。若手の監督さんの大事な作品に呼んでもらえるというのは凄く嬉しいことです。どの監督にも共通して言えるのは、必ずセッションをしてくれるんです。こう撮りたいっていう気持ちは明確にありながらも、演者側の想いもしっかり汲んでくれるんです。
今までは監督に言われたことを絶対にやらなきゃいけないという気持ちが強くて、無理をする部分もありました。でも、近年は、ある意味同じ目線で映画づくりができる同世代の女性監督の方々とご一緒する経験を重ねることで、撮影への向き合い方が変わりました。
作品が良くなるためであれば、意見することは悪いことではないんだなって。意見があったら、否定をするのではなく、どういう展開が望めるのか、どういうアプローチの仕方があるのか、『話し合う時間ってとっても大事なんだな』ということを、3人の女性監督と一緒にお仕事させていただいて強く感じましたね」
―――映画づくりに対する考え方が変わったのですね。
「話し合うことで見えてくるものや、発見することがある。心にしこりを残さずに、みんなでセッションして映画を作っていく作業はこれからもやってみたいなと思いました」
―――本作は三人姉妹のドラマを描いているわけですが、その中では松井さんがもっとも年長です。本作では“座長”を務める意識も強くあったのでしょうか?
「全然なかったです(笑)。ただただ役を全うするという意識でした。響子自体が積極的に物語を動かしていくというよりかは、周りで起きていることを受け止めて、それによって物語が進んでいくというタイプの主人公だったので、現場を引っ張るという感じではなく、静かにやるべきことを全うしようと思いました。
ちなみに、今回、現場には若いインターンの方たちが多く参加していたんです。その方たちと一緒に試行錯誤して、補い合いながら協力して作品作りが出来たのは凄く楽しい経験でした」
(取材・文:山田剛志)
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