「バレないよう映画で使っています」
“生きた言葉”を生み出す秘密とは?
―――前作でも感じたのですが、セリフの言い回しがとても映画的で、言葉がこちらにちゃんと届くように感じました。
「父親が詩を書いていたので、その影響かもしれないです」
―――監督のお父様はどのような詩を書かれていたのでしょうか?
「青春をテーマにしたような、瑞々しい感じの詩です」
―――そこは監督の作風にも通じているのかもしれませんね。監督は飲み屋さんに来ているお客さんの会話を脚本に活かすことがあるそうですが、そういった意味でも普段から人の“生きた言葉”というものを大切にされているのかなと感じました。
「酒好きなので、飲み屋の常連の話とか結構エグい話が多いんですけど、ネタにすることもあります。面白い話や独特のキャラの人など、色んな面白い人の要素を組み合わせたりして、バレないように映画で使ったりしています」
―――それはメモをして記録しておくのでしょうか?
「iphoneのメモに記録したりするんですけど、後から見ると全然文脈が思い出せないので、基本的には心にストックして、思い出すものを使ったりしていますね」
―――音楽は高校生の頃からやられていると仰っていましたが、何の楽器を演奏されていましたか?
「ピアノとかギターとかベースです」
―――色んな楽器を演奏なさるんですね!先程、多摩美の方とバンドを組まれていると伺いましたが、バンドで製作した音楽は本作でも使っているのでしょうか?
「以前ライブをやった時の音源を一部使っています。古谷が運転している時に背後でやかましく流れてくる曲は、ライブ音源を僕がミックスしたものです」
―――ご自身が監督した作品以外にも楽曲提供をされていますが、音楽製作と映画製作の共通点はどんなところですか?
「『やるぞ』という一種の集中状態に入れば出来るというのは同じです。
コツがあるんですよ。音楽はパソコンでPro Toolsというソフトを使って作るんですけど、何にも思いつかなくてもいいから、まず新規作成して名前を付けてデスクトップに保存したら、もう半分以上出来たようなものなんです。デスクトップにあると毎日見るからやらざるを得ない。自分で自分を追い込めば出来ます」
―――やんわりと自分を追い込むのが重要なのですね。普段、どんな音楽をお聴きになりますか?
「昨日はスピッツを聴いていました。たまたまコンビニで流れてきて、全然聴いてないなと思って。でも最近音楽を聴くのに飽きちゃって、昔より音楽のインプットは少なくなったと思います。今は格闘技観るのが好きで、格闘技と野球ばっかり観ていますね」