「自分でも分からないほど涙が出た」
現場で溢れ出した感情
―――お母さん役の安藤聖さんとのシーンが沢山ありましたが、事前に役柄についてお話はされましたか?
「世間話は沢山したんですけど、役柄については特にしてないんです。セリフを通して、親子の関係になったのだと思います」
―――安藤さんの印象はいかがでしたか?
「普段はあっけらかんとしていて明るい方なんですけど、お母さんになった時は一回り小さく感じるといいますか、守りたくなるような可愛らしく頼りないお母さんで居てくださりました」
―――ラブホテルで、山脇辰哉さん演じる上野が果歩を助けに来るシーンは、壊れてしまいそうなほど感情を露わにして演じられていましたね。
「感情が溢れ出した瞬間を捉えていただきました。自分でもあのシーンを撮れて良かったなと思っています」
―――現場ではテストも行われたと思うのですが、テストの時から感情を出し切るのでしょうか?
「『抑えてね』と言われたのですが、セリフを発するとしんどくて、自分でも分からないほど涙が出てきて、感情が溢れてしまいました」
―――脚本でそのシーンを読んだ時はいかがでしたか?
「凄く大事なシーンだと感じつつも、どんな場面になるか想像がつかない部分もあって、不安だったんですけど、山中崇さん演じた長谷川とのシーンを経て、上野くんを前にしたら何も考えなくても感情が出てきました。
今振り返ると、私はちゃんと果歩としてカメラの前でいられたんだなあと思います」
―――そういう時の記憶ってありますか?
「あまり覚えてないですね。ああいう風になる時って、客観的ではないじゃないですか。時間が経ったから忘れたというのではなく、シーンを撮り終えた日であっても、その時のことを憶えていないんです。
逆に河原でのシーンや上野くんとご飯を食べるシーンなど楽しいシーンは、理性を失ってないのでしっかり憶えています」