ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » 「ガリレオ」全作品の順番まるわかり! 東野圭吾原作「ガリレオ」シリーズを時系列順に紹介。映画『沈黙のパレード』の続編は? » Page 2

①短編集『探偵ガリレオ』(1998)


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原作内容

1998年5月に刊行された、「ガリレオ」シリーズの幕開けを告げる、最初の短編集。理系大学出身である東野圭吾の手腕が遺憾なく発揮され、大ベストセラーに。

東野は主人公・湯川学を造形するにあたり、俳優・佐野史郎をイメージしていたという。そのような事情もあり、本作の文庫本の解説は佐野が担当している。「燃える(もえる)」「転写る(うつる)」「壊死る(くさる)」「爆ぜる(はぜる)」「離脱る(ぬける)」という5つのエピソードを収録。

ドラマ「ガリレオ 第1シーズン」として実写化


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第一章「燃える(もえる)」

初出:『オール讀物』1996年11月号
ドラマ放送回:第1話「変人天才科学者」

【ドラマ版あらすじ】
深夜の公園で若者グループがたむろしている。すると、若者の1人の頭部が突然発火し、死に至る。新人刑事の内海(柴咲コウ)は、先輩の草薙(北村一輝)に、帝都大学理工学部物理学科の准教授・湯川学を紹介された。

人体が突然発火するという現象に強い興味を抱いた湯川は、薫とともに事件現場を訪れる。現場で出会った少女から、事件当日、「宙を舞う赤い糸を見つけた」という話をきき、ヒントをつかんだ湯川は、現場近くの製鉄所・時田製作所に足を運ぶ。困惑するスタッフを尻目に、工場内を巡回する湯川。金属片を取って調べていると、従業員の金森(唐沢寿明)から注意をされるのだが…。

「燃える(もえる)」の犯人を演じたのは唐沢寿明

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実写版「ガリレオ」の記念すべき最初の犯人は、製鉄所に務めるかたわら、視覚障がい者のための朗読会を主催する男・金森に扮した唐沢寿明。金属と炭酸ガスを使い、遠隔操作で人の頭部を燃やして殺害するなど、手口の周到さと残酷さで湯川を悩ませた。

第二章「転写る(うつる)」

初出:『オール讀物』1997年3月号
ドラマ放送回:第9話「悪魔が仕掛けた連続殺人」

【ドラマ版あらすじ】
内海は、防犯講習で訪れた文化祭期間中の中学校で、「ゾンビのデスマスク」と名づけられた展示品に目をとめる。これは生徒が池から拾い上げたアルミ板を元に作った物だったが、行方不明中の会社員・藤川雄一とよく似ている。その後、池から藤川の遺体が発見されると、不思議に思った内海は湯川にも協力を仰ぎ、事件を捜査することに。

調べると、藤川は放射線被曝を受けていた。さらに同時期に、栃木の湖で起きた原因不明の爆破事件の被害者も放射線被曝を受けていたことが判明する。この事件の被害者と藤川は同じ会社に勤務していた。その会社の設立者は、原子力工学の権威・木島(久米宏)である。木島は湯川の大学時代の恩師であった…。

原作では第二章だが、ドラマ版では第9話で登場

とある中学校を舞台に、謎のデスマスクと池で見つかった他殺体が謎を呼ぶエピソード。ドラマ版では、後述する第四章「爆ぜる(はぜる)」とミックスされ、最終章である第9話で描かれた。

第三章「壊死る(くさる)」

初出:『オール讀物』1997年6月号
ドラマ放送回:第4話「美しき天才殺人者の危険な誘惑」

【ドラマ版あらすじ】
とある豪邸の室内プールで発見されたのは、若い女性の水死体。検死によって、死因が心臓麻痺であることが明らかになったが、なぜか胸の皮膚の一部のみが壊死している。

内海は湯川に疑問を投げかけるが、死因自体はすでに解明されており、湯川は取り合わない。そんなある日、とある大学で講演を終えた湯川は、田上昇一(香取慎吾)という名の青年に声をかけられ、講義内容を賞賛される。湯川はかねてより田上の書く論文を評価しており、彼に名刺を手渡すと、「いつでも連絡してくれ」と声をかける。

一方、女性の遺体の一部が壊死していた点がどうしてもひっかかる内海は、皮膚疾患の専門医にコンタクトをとる。訪れた先の研究室で、内海の前に現れたのは、白衣を着た田上だった…。

「壊死る(くさる)」の犯人を演じたのは香取慎吾

Getty Images

第4話の犯人役は、湯川も認める優秀な科学者である田上を演じた香取慎吾。心臓麻痺を引き起こす薬を開発し、生きた人間で人体実験を繰り返すサマはなんとも恐ろしい。湯川に追い詰められて残した、「1人を殺せば犯罪者でも10万人を殺す兵器を作れば英雄だ」という言葉は、「ガリレオ」シリーズの中でも記憶に残る名セリフ。ちなみにこのセリフは、チャーリー・チャップリンの名作『殺人狂時代』(1947)の引用である。

第四章「爆ぜる(はぜる)」

初出:『オール讀物』1997年10月号
ドラマ放送回:第9話、最終話「聖夜にKISSして!」

【ドラマ版あらすじ】
内海は、防犯講習で訪れた文化祭期間中の中学校で、「ゾンビのデスマスク」と名づけられた展示品に目をとめる。これは生徒が池から拾い上げたアルミ板を元に作った物だったが、行方不明中の会社員・藤川雄一とよく似ている。その後、池から藤川の遺体が発見されると、不思議に思った内海は湯川にも協力を仰ぎ、事件を捜査することに。

調べると、藤川は放射線被曝を受けていた。さらに同時期に、栃木の湖で起きた原因不明の爆破事件の被害者も放射線被曝を受けていたことが判明する。この事件の被害者と藤川は同じ会社に勤務していた。その会社の設立者は、原子力工学の権威・木島(久米宏)である。木島は湯川の大学時代の恩師であった…。

ドラマ版では最終章として登場

前編、後編の2部作となったドラマ版『爆ぜる(はぜる)』。第二章「転写る(うつる)」のエピソードも交えた構成となっている。犯人は、かつての湯川の恩師であり、原子力工学の研究者である木島(久米宏)。木島は自身の研究に利用するために、何の罪もない2人の従業員を死に追いやった、堕落した研究者である。

湯川と壮絶な頭脳戦を繰り広げ、追い詰められた木島は、首都の半分を消し飛ばすほどの破壊力を誇る中性子爆弾「レッドマーキュリー」のスイッチを起動。奇しくもその日はクリスマスの夜。湯川は木島が仕掛けた爆弾を解除することに成功し、事なきを得た。

第五章「離脱る(ぬける)」

初出:『オール讀物』1998年3月号
ドラマ放送回:第2話「OL殺人と空を飛ぶ少年の謎!」

【ドラマ版あらすじ】
都内のワンルームマンションでOLが腐乱死体で発見された。薫は弓削(品川祐)とともに、事件発生時刻に被害者宅を訪ねたとされる保険外交員・栗田(石井正則)にコンタクトをとる。しかし、栗田はその時間、川沿いの道に車を停めて仮眠をしていたという。しかし証言を裏付ける根拠がなく、殺人の容疑で逮捕されてしまう。

そんな中、事件が起きたマンションに住む上村(小市慢太郎)が、息子の忠広(今井悠貴)が描いたという絵を郵送してきた。絵には川沿いの道に赤い車が停まっている様子が描かれている。忠広には不思議な能力があり、発熱して寝込んだ際に幽体離脱してマンションから脱け出し、赤い車を見たのだという。湯川はこの事件に興味を抱き、独自に検証をはじめるのだが…。

原作では最終章だがドラマでは序盤に登場

短編集『探偵ガリレオ』のラストを飾るエピソード「離脱る(ぬける)」。ドラマ版では2話目に登場した。原作ではこのエピソードから「ガリレオ」という愛称が使われる。そのため、ドラマ版では序盤に配置転換されたのかもしれない。

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