ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » 「ガリレオ」全作品の順番まるわかり! 東野圭吾原作「ガリレオ」シリーズを時系列順に紹介。映画『沈黙のパレード』の続編は? » Page 3

②短編集『予知夢』(2000)


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原作内容

『探偵ガリレオ』に続く、物理学者・湯川学を主人公とする「ガリレオ」シリーズの第2作。この作品以降、湯川が物理科学以外の知識(たとえば心理学)を駆使して、事件を解決に導くケースも増えていく。「夢想る(ゆめみる)」「霊視る(みえる)」「騒霊ぐ(さわぐ)」「絞殺る(しめる)」「予知る(しる)」の5つのエピソードを収録。

ドラマ「ガリレオ 第1シーズン」として実写化


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第一章「夢想る(ゆめみる)」

初出:『オール讀物』1998年11月号
ドラマ放送回:第6話「未来の恋と二人きりの長い夜」

【ドラマ版あらすじ】
湯川は内海から依頼を受け、彼女の幼なじみが起こした事件の捜査を依頼された。内海の幼なじみであり、占い師の坂木(新井浩文)は、森崎家の屋敷に不法侵入し、2階の自室で就寝中であった17歳の娘・礼美(堀北真希)に暴行を働こうとしたという。異変に気付いた母・由美子(手塚理美)が猟銃をもって駆け付けると、坂木に向かって発砲。幸い礼美は無事だったが、坂木は傷を負ったまま現在も逃亡中である。

捜査を進めたところ、坂木はここ一月ほど、礼美にストーカー行為を働いていたことが判明する。礼美は坂木の占い店の顧客だった。そんな中、内海の携帯に坂木から連絡が入った。坂木によると「自分は礼美に呼ばれたから部屋に入った」とのこと。彼が占いに使っていた水瓶に、「会いに来て」という礼美からのメッセージが浮かんだというのだ。

一連のやりとりを聞いた湯川は、坂木の言動を「ストーカーの妄想」とバッサリ切る。すると薫は、坂木が小学校時代に書いた作文を湯川に見せる。そこには「僕の夢は、モリサキレミと結婚すること」と書かれており、文章の横には、礼美の部屋の飾り窓とそっくりな絵が添えられていた…。

湯川が初めて殺人事件以外を扱ったレアケース

短編集『予知夢』の第一章「夢想る(ゆめみる)」は、湯川が初めて殺人以外の事件を手がけた。心理学の知識を使った推理で、事件を無事解決に導いた。ドラマ版のゲスト出演者は堀北真希と新井浩文。後者は暴力事件を起こしたかどで実刑判決を受けており、「ガリレオ」シリーズの中でも本作だけは再放送されないことで知られている。

第二章「霊視る(みえる)」

初出:『オール讀物』1999年2月号
ドラマ放送回:第8話「殺人事件を知らせた姉の幽霊!」

【ドラマ版あらすじ】
事件が起きたのは、雑居ビル内の料理教室。経営者の女性・美鈴が残業をしていると、突然現れた侵入者によってメッタ刺しされてしまった。侵入者は警備員に追い詰められると、誤って窓から転落して死亡。事件は後味の悪い結末を迎えてしまう。

被害者はここ1カ月ほどストーカーに悩まされていた。被害者の妹・千晶(釈由美子)は、姉を心配し、度々姉の部屋に泊まりに行っていた。千晶は事件当日も姉の部屋にいたが、不思議なことに、窓の外から室内をのぞく姉の姿を目撃したという。しかし、そのときすでに姉は死亡していた。テレポーテーション(瞬間移動)を思わせる千晶の話に興味をもった湯川は、事件の調査に乗り出すのだが…。

殺人は単独犯ではなく複数犯!

被害者である美鈴の体には200箇所以上の刺し傷があったが、致命傷となったのはたったの2箇所のみ。彼女は、致命傷を与えられたあとに、別の刃物で斬りつけられていた。また、死亡した容疑者・小杉のナイフは致命傷を与えた刃物とは違うものだ。

美鈴を殺した真犯人は、料理教室の共同経営者・頼子(たくませいこ)である。頼子はかねてから美鈴を妬んでおり、あるとき、口論の末に調理用の包丁で彼女を刺し殺してしまった。パニックに陥った頼子は、出会い系サイトで知り合った小杉に連絡し、片棒を担がせたというわけだ。

頼子は美鈴を殺した後に、事件を隠蔽するために黄色いコートを着て美鈴の自宅周辺を歩き、彼女が一旦帰宅してから再び料理教室に行ったように工作。千晶が目撃したのは、美鈴に成りすました頼子の姿だった。

第三章「騒霊ぐ(さわぐ)」

初出:『オール讀物』1999年4月号
ドラマ放送回:第3話「消えた夫と幽霊の棲む黒い家!」

【ドラマ版あらすじ】
珍しく湯川から呼び出しを受けた薫は、彼の教え子である村瀬健介(林剛史)の姉・弥生(広末涼子)から相談をうける。弥生によると、夫の直樹(渡辺裕樹)と1週間以上連絡がとれず、事件に巻き込まれた可能性が高いという。

失踪当日、直樹は、親しい仲であるひとり暮らしの老婆・高野ヒデ(森康子)の家に行ったはず。弥生がヒデの家を訪ねたところ、家には高野昌明(甲本雅裕)ら4人の男女が住んでおり、毎晩同じ時間に外出することがわかった。さらに、4人が外出した直後に、家の中からは異様な物音がするという。

内海は弥生とともにヒデの家を訪れるが、直樹の姿はない。すると、突然家中が激しく揺れ出し、2人はポルターガイストを体験。果たして湯川は、謎の家の秘密を解き明かすことはできるのか?

ポルターガイストの謎を解くカギは床下のマンホールにあり!

弥生と内海が体験した地震でもないのに家中が揺れるポルターガイスト。実は、家の真下にあるマンホールの水が、近くの工場から流れてくる熱水と混ざり、ブルブルと振動することに原因があった。

なぜ突然そんなことが起こりはじめたのか。それは、ヒデの家に住む4人の男女がふとした弾みで直樹殺害に加担し、死体を床下に埋めたことに原因があった。死体を埋めたことで、マンホールの配置が変わったのだ。4人は物理的な振動現象を、直樹を殺したことによる祟りだと錯覚。毎晩決まった時間に起こる振動を恐れ、数珠を携え4人そろって出かけることが日課となっていたのだった。

第四章「絞殺る(しめる)」

初出:『オール讀物』1999年9月号
ドラマ放送回:第5話「消えた夫と幽霊の棲む黒い家!」

【ドラマ版あらすじ】
都内のホテルでペンション経営者の矢島(岡本光太郎)遺体が発見された。男は何者かの手によって睡眠薬で眠らされ、絞殺されたようだ。しかし、男がチェックインして殺されるまでの間、部屋の外では配線工事が行われており、人の出入りは確認されていない。

完全なる密室殺人である。さらに不思議なことに、事件当日、ホテルの向かいにあるビルの従業員は、矢島の部屋で火の玉を目撃していた。矢島には直近の数カ月で複数の生命保険に加入しており、受取人である妻・貴子(水野美紀)に疑いがかけられるが、事件当日、貴子にはアリバイがあった。事件に興味をもった湯川が、解決に乗り出すのだが…。

被害者は他殺に見せかけて自殺していた!

第5話で描かれた事件では、被害者が他殺に見せかけて、自殺をしていた。保険金をおろすことで、家族を守るためである。矢島はアーチェリーの弦を首に巻き付けた状態でベッドに横たわり、“半田ごて”で弦を焼き切ることによって、自身の首を絞めたのだった。謎の火の玉の正体は、弦が切れるときに生じた閃光であった。

第五章「予知る(しる)」

初出:『オール讀物』2000年1月号
ドラマ放送回:第7話「美しき妻の愛した恐怖の殺人装置」

【ドラマ版あらすじ】
食品加工会社の社長・菅原(塚地武雅)は、妻の静子(深田恭子)と結婚したばかりでありながら、飲み屋で知り合った冬美(桜井千寿)と浮気をしていた。ある日、菅原は大学の後輩の峰村(戸次重幸)と自宅で飲んでいると、冬美から電話が入る。冬美は、向いのマンションの一室におり「結婚してくれないなら死ぬ」と告げ、菅原が窓越しに見つめる中、ロープで首を吊って自殺をした。

その後、菅原は静子にも逃げられ、多額の慰謝料によって身を滅ぼすハメに。一連の悲劇の裏には不思議な現象があった。菅原によると、冬美が自殺する1週間前に、同じ部屋で女性が首を吊るのを目撃していたという。彼はそれを友人にも話していた。菅原は冬美の死を予知していたのか、それとも…。湯川と内海が事件について調べると、意外な事実が明らかになっていく…。

「予知る(しる)」の犯人を演じたのは深田恭子

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第7話の犯人役は、菅原の妻・静子を演じた深田恭子。彼女はロボット工学者の峰村と共謀して、冬美の殺害を計画。冬美は菅原をビビらせるために、峰村の知恵を借りて狂言自殺を行うことに。死ぬつもりはなかったが、峰村の策略によって命を落とすことに。菅原が冬美の死の1週間前に見たのは、峰村の指示のもと、冬美が狂言自殺の予行練習をしている光景であった。

静子は用なしになった峰村を殺し、悪女っぷりを見せつける。しかし、湯川の推理によってあえなく逮捕となった。

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