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④短編集『ガリレオの苦悩』(2008)


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原作内容

「ガリレオ」シリーズ第4弾となる、短編集。この作品から、テレビドラマ『ガリレオ』のオリジナルキャラクターである内海薫が登場する。「落下る(おちる)」「操縦る(あやつる)」「密室る(とじる)」「指標す(しめす)」「攪乱す(みだす)」の5エピソードを収録。

第一章と第二章は『ガリレオΦ(エピソードゼロ)』で実写化


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第一章「落下る(おちる)」

初出:『オール讀物』2006年9月号
スペシャルドラマ『ガリレオΦ(エピソードゼロ)』(2008)で実写化

第二章「操縦る(あやつる)」

初出:『別册文藝春秋』第274号(2008年3月号)
スペシャルドラマ『ガリレオΦ(エピソードゼロ)』(2008)で実写化

『ガリレオΦ(エピソードゼロ)』作品内容

海辺近くの一軒家がいきなり焼失する事件が発生。焼け跡から友永家の息子・邦宏の遺体が見つかった。調べると焼死ではなく、何者かによって刺殺されていたことが判明。しかし、現場には何者かが侵入した痕跡はない。捜査を担当する草薙(北村一輝)は、専門家の知見を借りるべく、母校の帝都大学へと足を運ぶ。すると、校内の掲示板で学生時代の友人・湯川学の名前を発見する。学生時代、草薙は湯川に救われた過去があった。草薙は天才的な頭脳をもつ湯川に捜査協力を依頼するのだった。

原作は、「ガリレオ」シリーズの短編小説集『ガリレオの苦悩』(2008年発売)収録の「落下る(おちる)」「操縦る(あやつる)」。「ガリレオ」シーズン1の3年前の出来事が描かれる。湯川がかつての同級生であり、警視庁の敏腕刑事である草薙の依頼を受け、初めて警察への捜査協力をする…。といった筋立て。草薙の回想シーンで「落下る」のエピソードを使用。本筋は「操縦る」をベースにしたストーリーとなっている。

映画『容疑者Xの献身』の公開に合わせ、フジテレビ「土曜プレミアム」で放送された。『容疑者Xの献身』の犯人である石神(堤真一)に関するエピソードも登場。学生時代の湯川と石神のエピソードが描かれる。他にも、終盤に起きる不可解な事件が映画の冒頭で描かれるなど、『容疑者Xの献身』と深くリンク。映画とセットで観ると、より楽しめるだろう。

若い頃の湯川を演じたのは三浦春馬

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大学時代の湯川に扮したのは、2020年に早逝した三浦春馬。福山雅治とは事務所の先輩・後輩の仲である。

第三章~第五章は『ガリレオ 第2シーズン』で実写化


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前ドラマシリーズからおよそ6年ぶりに制作されたセカンドシーズン。第1話で湯川のもとを訪れた内海薫(柴咲コウ)は、湯川の所属する帝都大学出身の新米刑事・岸谷美砂(吉高由里子)を紹介する。セカンドシーズンでは、内海ではなく、岸谷が湯川の相棒となって数々の難事件に挑む。ちなみに岸谷は原作には存在しない、実写版オリジナルのキャラクターである。

第三章「密室る(とじる)」

初出:『GIALLO』(光文社)2008年SUMMER号
ドラマ放送回:第6話「vs女性科学者!! 空白の20分の殺人術」

【ドラマ版あらすじ】
有名企業の研究者・野木祐子(夏川結衣)が主催する山歩きのイベントで死亡事件が発生する。渓流で死体となって発見されたのは、祐子の同僚の篠田真希(遊井亮子)だ。真希は宿に到着するなり部屋に閉じこもり、周囲から心配されていた。ペンションのオーナー・藤村(おかやまはじめ)は、真希がベランダからこっそり外に出ていったことに気づいたが時すでに遅し。地元警察は、真希の死因を自殺だと断定した。

たまたまイベントに参加をしていた岸谷は、真希は自殺ではなく、何者かによって殺害されたと直観。祐子に疑いの目を向ける。岸谷から相談を受けた湯川は、事件が起きたペンションに足を運ぶのだが…。

「密室る(とじる)」の犯人役は夏川結衣

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第6話のゲスト出演者は、美貌の研究者を演じた夏川結衣。岸谷の「女の勘」によると、祐子は被害者を崖に呼び出し、突き落としたのではないかとのこと。しかし、事件発生時、祐子は入浴していたことが確認されており、アリバイがある。岸谷の追及にチグハグな答えを返すところを見ると確実に怪しいが、立件できるほどの証拠はない。

打つ手なしと思われたが、湯川の推理によって形成逆転。祐子はひっそりと真希を崖に呼び出し殺害すると、ホログラムシールを使い、あたかも部屋に真希がいるように見せかけていたのだ。祐子は自分よりも才能のある真希に嫉妬を覚え、犯行に及んだのだった。

第四章「指標す(しめす)」

書き下ろし作品
ドラマ放送回:第2話「死を呼ぶ水晶振り子! 変人vs美少女」

【ドラマ版あらすじ】
一人暮らしの老婦人が、何者かによって自宅で殺害された。被害者宅からは金の延べ棒が紛失しており、強盗殺人の線が濃厚だ。遺体発見の当日、女子高生の真瀬加奈子(川口春奈)は、祖母から貰い受けた水晶の振り子を使い、老婦人の飼い犬の死骸を発見。死骸は被害者宅から遠く離れたところで見つかった。

加奈子はどんなことでも振り子の指示によって決めるという。岸谷から事件の相談を受けた湯川は、加奈子が駆使するタウジング(地下に隠れた物を、棒や振り子などの動きによって感知する手法)に興味を抱き、事件の調査に乗り出すのだが…。

「指標す(しめす)」のゲスト出演者は川口春奈

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第2話のゲスト出演者は、不思議な振り子を使う女子高生・加奈子に扮した川口春奈。タウジングに似た手法を使い、老婦人殺人事件の犯人が、行きつけのパン屋の主人であることを的中させた。犯人が捕まったのは朗報だが、科学の信奉者である湯川にとって、解くべき謎は加奈子が駆使するタウジングにある。

湯川によると、振り子を動かしているのは加奈子の潜在意識である。実のところ加奈子は、事件当日に、パン屋の主人が生き物に似た何かをゴミ箱に投棄しているのを目撃していたのだ。

彼女はパン屋の主人に好感を寄せていたため、現実を受け入れることができず、告発する気持ちを抑圧。しかし、彼女の潜在意識はタウジングとして表れ、真実を告げ知らせることになった。

第五章「攪乱す(みだす)」

初出:『別册文藝春秋』第276号(2008年7月号)
ドラマ放送回:第9話「狙われた湯川!! 悪魔の手の恐怖実験」

【ドラマ版あらすじ】
岸谷が所属する貝塚北署に『悪魔の手』を名乗る人物から犯行予告が届いた。手紙には「警察の手に負えなければ湯川の手を借りろ」と、湯川を挑発する文章が書かれている。「これはどちらが真の天才科学者かを決める勝負である」。

2通目の手紙が届くと、そこには、上田重之(岡本正仁)という名の男を転落死させたと書かれてある。岸谷によると、都内の建設現場で作業員の男が転落死を遂げ、彼の名前は手紙の通りだという。また、湯川宛にも手紙がとどき、そこには転落死事件の前日に、上田の殺害を予告する内容が記されてあった。

湯川と岸谷は事件現場を訪れるが、『悪魔の手』がいかなる手段で犯行に及んだのか、手掛かりはつかめない。場面は変わり、湯川の助手・栗林は、友人の物理学者・高藤英治(生瀬勝久)と酒席を共にしていた。栗林は高藤に対し、湯川が『悪魔の手』の事件に関わっていることを話す。

そんな中、今度は若いサラリーマンが電車に轢かれて死亡する事件が発生。果たしてこの事件も『悪魔の手』の仕業なのだろうか…?

「攪乱す(みだす)」の犯人役は生瀬勝久

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第9話の犯人である『悪魔の手』こと、物理学者・高藤英治に扮したのは生瀬勝久。高藤は特殊な音響装置を使い、ターゲットにめまいを起こさせることで、死のきっかけを作っていたのだ。

高藤は10年前の学会発表で、湯川に研究の矛盾を指摘されたのをきっかけに、彼を恨むようになった。生粋の物理学者であれば、湯川の指摘を糧に、自身の研究をブラッシュアップすることに情熱を傾けるところだが、高藤はその後、私怨の塊になってしまったのだ。皮肉なことに、湯川は10年前の出来事などきれいさっぱり忘れていた。

“道を踏み外した物理学者”である高藤との対決を制したことで、湯川の偉大さをより実感させられる回となった。

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