映画『ゴジラ-1.0』はヨーロッパで成功するのか? 世界配給を手がける会社のCEOが語る勝算とは? 談話を紹介
11月3日に公開を迎えた映画『ゴジラ-1.0』は、公開3日間で興行収入10億円を突破し、ゴジラファンのみならず多くの人々から大きな注目を集めている。そしてこの度、本作は、配給会社ピース・オブ・マジックにより、ヨーロッパ全土での劇場公開が決定した。今回はその詳細を米Varietyを参考に紹介していく。
世界で成功を収めるフランチャイズ映画
配給会社ピース・オブ・マジックのCEOが言及
東京国際映画祭のクロージング作品であるとともに、日本の怪獣映画フランチャイズの最大の作品となりつつある『ゴジラ-1.0』。劇場配給のみの専門配給会社ピース・オブ・マジック・エンターテイメントは2023年11月3日、東宝から権利を取得し、イギリス、アイルランド、ドイツ語圏を除く38の地域でフランチャイズを統括することを明らかにした。
『ゴジラ-1.0』は、戦後の日本を舞台に、ゴジラという新たな恐怖に反撃する人々を描いた物語。監督・脚本・VFXを務めるのは、『永遠の0』(2013)や、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005)、『寄生獣』(2014)で知られる山崎貴監督で、神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介らが出演している。
冷戦期の水爆実験から生まれた〝水爆大怪獣”ゴジラ。このキャラクターが出演する作品は70年もの間驚異的な成功を収めており、東宝が制作した30本の映画作品は、ハリウッド版も併せて全世界で10億ドル以上(約1,494億円以上)の興行収入を記録。史上最長の映画フランチャイズ作品としてギネス世界記録にも認定されている。
今回公開される『ゴジラ-1.0』は、『シン・ゴジラ』(2016)以来の作品であり、ゴジラフランチャイズ70周年記念作品でもある。本作は、12月1日からヨーロッパでの公開を控えており、フランス、イタリア、スペイン、ベネルクス、ポーランドなど、多くの国でIMAXや4DX版が上映される。
ピース・オブ・マジック・エンターテイメント創設者兼CEOのキャスパー・ナダウ氏は、「Netflixや、Amazonプライム、Disney+などでの映画視聴が主流のストリーミング時代に、あえて劇場公開に注力することは、賢明な選択だと思っています」と主張する。
「著作権者の多くは映画を劇場で上映したがっています。何故なら、上映することで箔が付き、他の契約もスムーズに進められるようになるからです。2017年の設立以来、私たちは約60カ国で興行主とパートナーシップを組んできました。現在は、配給に加えて、マーケティングや宣伝、販売、作品の組織的な輸入も手掛けています」
さらに彼は、次のようにコメントしている。「ある市場では今まで通りのやり方で上映したり、ある市場ではコアなファンに刺さるイベントを仕掛けたり、といったように、私たちは市場に合わせてカスタマイズしています。ただ、どのような市場でも高い稼働率と最高の顧客体験、そして、関係者全員が満足できる興行収入を目指しています」
「『ゴジラ』に日本版とアメリカ版があることはみんな知っていると思いますが、大半の観客は、日本版についてそこまで知らないでしょう。私たちの目的は、こういった観客を、アニメファンのようなコアなファンに変え、旧来のファンとの境目を無くすことにあります。アジアコンテンツやIMAXやScreenXなどのラージフォーマットへの関心の高まりからも、私たちは成功を確信しています」。
日本の“伝統芸”であるゴジラの最新作に、ヨーロッパの人々はどういった関心を抱くのか。12月からの上映に期待が高まる。
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