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「映画自体が命を持つ」
製作で見えてくる“映画の存在”

写真:武馬怜子
写真武馬怜子

ーー本作を製作する上で一番大変だったことはなんでしたか?

「下前祐貴くんが演じたユージン達が歌うライブシーンは、当初は汐留にあるイタリア街で撮影するはずだったんですけど、規制が厳しくて撮影出来なくなって、撮影目前に迫ってロケ場所が決まらず凄く頭を抱えちゃって…。

最終的にはラインプロデューサーが見つけてくれた、歌う3人のバックに広大な海が見える絶景の公園になったんですけど、もうそのロケ地が本当に最高で…!それこそ、映画の神が導いてくれたのではないかと思えました。

本当に映画を作っていると、こうやって“映画の神”の存在を感じる瞬間が多々あるんですよね。なんと言うか…さらに思うのは、映画を作っていると映画が一つの人格を勝手に持ち始めるというか、映画自体が命を持ち始めるので、元々、僕が頭の中で思い描いていたものを実際の映像が超えてくる時があるですよね。

映画自体が『答えはこっちだよ』と導いてくれるので、自然に任せるというところが映画の魅力的な魔力かなと。編集していても、ゾーンに入ってくると、映画の方から『こういう風に編集してくれ』という声が聞こえるんですよね。それで僕はその声に自然に従っていくんですよね」

ーー映画が人格を持つ…とても面白いですし、中島央監督の映画愛をヒシヒシと感じます!では編集にも監督が立ち会ったんですね。

「映画の編集は、編集マンと2人でやりました。アメリカでは監督自身が編集するのは一般的なんですよね。

また、編集の進行で今回初めて採用したシステムがあったんです。それは、通常の編集プロセスだと“仮編”といって、まず最初に編集者が1ヶ月くらい掛けて、映画全編を仮編集したものを監督に見せ、監督がそれを見て判断し、そこから仮編したものを土台に監督と編集者が共同で編集していくのが通例です。

ですが、今回はそのやり方を止めて、、最初から編集マンと一緒に撮った撮影素材、文字通り全テイクを確認して、それこそ僕がもう最初から全ショットのOKテイクを自ら選んで、編集作業開始の初日からバンバン編集を開始しました。

ですので、結局、最終完成までの時間も大幅に短縮することができました。編集マンも『このやり方やった事なかったですけど、凄くいいですね』って言ってましたね」

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