主人公・杉元を中心とした独立勢力
まずは主人公としてメインで描かれる「杉元一味」だ。作中後半ではメンバーが入れ替わることもあるが、ここでは中心の「杉元」「アシㇼパ」「白石」の3名について紹介する。
杉元佐一(演:山﨑賢人)
本作の主人公・杉元は、もともと日露戦争で「不死身の杉元」と恐れられたほど武功を挙げた人物だ。勲章モノの功績を挙げたが、気に入らない上官を殴ったために、貧乏暮らしである。「金塊・砂金で一発当てるぞ~」という野望を持って東京から北海道に来た。
彼が金塊を追う理由は「むかし好きだった梅子の眼病を治すため」だ。梅子は、杉元の幼なじみである寅次と結ばれる。しかし寅次は戦死してしまい、梅子は未亡人となった。杉元は「梅子を頼んだぞ」と泣く寅次を夢で見るほど、梅子の身を案じている。めちゃ素敵な動機でお金を欲している男だ。
アシㇼパ(演:山田杏奈)
アシㇼパは、ヒグマに襲われそうになっていた杉元を助けたアイヌの少女。杉元から金塊の話を聞き「殺されたアイヌのなかに自分の父親がいた」と確信して、仇討ちのために杉元に協力する。
お金のためではなく、いずれ父親の敵に出会うという目的を持って争奪戦に参加する。物語が進むに連れて、金塊をめぐる最大のキーマンとなる存在だ。
ちょっとメタ的な視点でいうと、アシㇼパは作品内で「アイヌの生活」を杉元・白石や、読者に教える役目を担っている。『ゴールデンカムイ』は単なる推理・バトルマンガではなく、民俗学的な要素が楽しい。これは劇場でも楽しみなポイントだ。
白石由竹(演:矢本悠馬)
白石は24人の脱獄囚のひとりで、コメディ担当のキャラだ。最初は杉元とアシㇼパに捕縛されるが、口内に隠した剃刀を使って逃亡。極寒の川に杉元と一緒に落下し、見逃してもらうことを条件に杉元を凍死から救った。この出来事がきっかけで仲間になる。
とにかく金(と女とギャンブル)が大好きなので、金塊の分け前をもらうために、杉元たちのパーティに加わった。ただし、作者自身が「峰不二子」と形容しているように基本的にめっちゃ軽薄な性格であり、場合によっては杉元一味を裏切るような素振りを見せる。