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『誰かの不幸の上に、誰かの犠牲が成り立っている』について

撮影:武馬怜子
撮影武馬怜子

―――今作では「あんた、まだサンタさんとか信じてるくち?」と主人公が元同級生にバカにされるような描写や、男子学生がイジメられるシーンも印象的でした。知らないだけ、受け入れないだけでバカにされる。共感性が高いのは良いことでもあるのですが、それによって“右向け右文化”に陥りがちな日本人の習性や文化に対する批評性も感じました。

「そうですね、小学校低学年くらいではサンタさんを信じているけど、歳を重ねるにつれて本当のことを知る。今作のテーマである『誰かの不幸の上に、誰かの犠牲が成り立っている』ということも、多かれ少なかれ、10代後半くらいからみんな知り始めるのではないかと思います。サンタのセリフはそうしたことを暗示するものでもあるんです」

―――そのシーンに通じるところで、主人公がおばあちゃんから『あんたは知ってた。知らないふりをしていただけ。結局あんたも自分が一番好きなんでしょ』と言われます。主人公は、幼少期から違和感に気付いていたけど、それに蓋をして見て見ぬふりをしていた。痛烈な皮肉を感じるシーンでした。

「そうですね。この映画は、非常に皮肉な内容を描いています。『みなに幸あれ』と言うタイトルも『半分皮肉、半分希望』といった意図を込めて付けました。

序盤のシーンでは、通りすがりの見知らぬおばあちゃんが『若い人たちが犠牲になって』という言葉を口にしますが、『この映画はメタファーですよ』っていうのをそこで提示したつもりです。比喩を使いながら現代社会を嫌味っぽく表現した映画になっていると思います」

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