日本映画はアカデミー賞でどのような結果を残すのか
どんなに優れたゴジラ映画であったとしても、米国でクリストファー・ノーラン監督や、マーティン・スコセッシ監督のようなアカデミーの寵児達や、アカデミー賞の最有力候補を、作品賞で打ち負かす世界を想像するのは少々難しい。しかし、中には思っている以上に可能性を秘めた映画作品もある。
もちろん、宮崎駿監督は、2003年の映画『千と千尋の神隠し』で、既にアニメーション映画賞を1度受賞している。2024年の同賞では、この強力なオスカー候補が2度目の偉業を達成することになる可能性もある。
上記の作品のいずれかが受賞すれば、韓国のポン・ジュノ監督が、映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、映画『アイリッシュマン』、映画『ジョーカー』、映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』といった、アカデミー賞の有力候補であった超人気作を抑え、作品賞を獲得した、2020年の再現が今年見られるかもしれない。
日本の映画委員会も、今年の外国語映画賞の候補作を決めるのに大変苦労したに違いないだろう。と言うのも各国はこの部門に応募する映画を1本選ぶ必要があるのだ。驚いたことに、映画『PERFECT DAYS』は、映画『君たちはどう生きるか』や映画『怪物』を抑え、今年の外国語映画賞の日本代表となっている。
しかし同時に、外国映画の作品賞受賞を期待する前に、2020年に映画『パラサイト 半地下の家族』が受賞した後の出来事を思い出すことは重要である。本作が英語以外の言語で製作された映画として、初めて作品賞を受賞した後(『千と千尋の神隠し』の英語吹き替え版は2003年にノミネートされている)インターネット上ではこの決定を非難する無知で人種差別的なコメントが殺到している。
右派メディアでは、アカデミーが作品賞に外国語映画を入れたことを非難。ドナルド・トランプ前大統領は「韓国とは、貿易で十分すぎるほど問題を抱えている。その上、今年最高の映画の賞も渡さなければならないのか?」と、2020年の大統領再選へ向けた選挙集会で、この受賞について不満を表しているのだ。
2023年は日本映画界にとって輝かしい年として記憶されることとなった。一体日本映画はアカデミー賞でどう評価されるか。アカデミー賞は2024年3月10日に開催される。
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