スタジオジブリとアカデミー賞の歴史
スタジオジブリは、過去計6回アカデミー賞にノミネートされている。そして、その全ての作品が、2000年代初頭に新設された”長編アニメ映画賞”である。
映画『千と千尋の神隠し』は、”長編アニメ映画賞”が導入されたわずか2年目に同賞を受賞。しかしその後、宮崎監督とジブリは、同賞とのすれ違いをつづけている。
映画『ハウルの動く城』は2006年に、映画『風立ちぬ』は2014年にノミネートされている。しかし受賞することはなく、2008年の映画『崖の上のポニョ』に関してはノミネートにも至っていない。
スタジオジブリ全体でみると、2013年の映画『かぐや姫の物語』、2014年の映画『思い出のマーニー』、2015年の映画『レッドタートル ある島の物語』の3作品でアカデミー賞にノミネート。しかしいずれもディズニーとピクサーの作品に敗れている。
一方、宮崎駿とアカデミー賞のつながりで言うと、2014年にアメリカの映画芸術科学アカデミーが比類なき才能と映画界への長年の貢献をたたえて選出する「名誉オスカー受賞」を果たしているという点は無視できない。宮崎駿がアニメーションと映画芸術全体に与えた、広範かつ強大な影響力が評価されたのだ。
受賞スピーチの中で、宮崎は自身のキャリアと人生の幸運について簡潔に語り、特に “紙と鉛筆とフィルムで映画を作ることができる最後の時代に参加することができて幸運だった “といった印象的な言葉を残している。
ジブリの直近のアカデミー賞ノミネートは2017年。フランスのアニメーションスタジオとの共同制作作品である映画『レッドタートル ある島の物語』が長編アニメーション賞にノミネートされている。
その後、新作である映画『君たちはどう生きるか』の公開までの間にジブリが製作した長編映画は、2020年の映画『アーヤと魔女』1本のみ。ジブリが初めて製作したデジタル・3Dアニメーションであるこの作品の批評家や観客からの評判は必ずしも芳しいものではなく、本作は2021年のアカデミー賞授賞式でノミネートを逃している。
映画『君たちはどう生きるか』は、近年比較的低調であったスタジオジブリがアカデミー賞で存在感をみせつける久々のチャンスとなる。