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晴れやかなクライマックス…原作者・川村元気の世界観を深掘り解説。映画『四月になれば彼女は』考察&評価。忖度なしレビュー

映画『四月になれば彼女は』が3月22日より全国公開中。映画『君の名は。』、『怪物』などを手掛けた稀代のヒットメーカー・川村元気による小説が原作。佐藤健、長澤まさみ、森七菜が出演。今回は、過去の川村作品と比較しながら本作の見所を解説するレビューをお届け。(文・村松健太郎)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:村松健太郎】

脳梗塞と付き合いも15年目を越えた映画文筆屋。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在各種WEB媒体を中心に記事を執筆。

川村元気特有の世界観
“現実に即した寓話”

©2024「四月になれば彼女は」製作委員会
©2024四月になれば彼女は製作委員会

3月22日金曜日から全国の劇場で公開された映画『四月になれば彼女は』。監督はこれまで米津玄師の「Lemon」やあいみょんの「マリーゴールド」のPVを手掛けてきた山田智和。

初長編ということで、映画全体を通して説明すべき部分をイメージだけで済ませたり、時制をいじるのはともかくとして、2つの時代が交差するタイミングがあまり良くないなど、まだぎこちない部分が散見されるものの、写真がキーアイテムになっていることもあって、時折ハッとするような美しい画面が登場する。

この辺りはこれまでPVやCM、ショートフィルムなどで、一瞬で見る人の心を捉えるように人物や風景を切り取り続けてきた山田監督の“らしさ”が感じられる部分であるとも言える。

特にウユニ塩湖のシーンの美しさは一見の価値がある。音響はともかくとして、息を呑むほど美しい映像を堪能するために、ぜひ配信ではなく劇場で見てほしいと思うところ。

監督がまだ長編映画の演出に十分に“自分の色”を出していない(出せていない)分、『四月になれば彼女は』で目を引くのは、原作を手がけた川村元気独自の世界観だろう。

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