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「自分たちの交換日記を公開しているようなもの」
自主映画の在り方と群青いろのこれから

写真:武馬玲子
写真武馬玲子

―――群青いろは、およそ20年に渡って、独自のスタンスで映画を製作してこられたわけですが、現在の日本のインディペンデント映画をどうご覧になっていますか?

髙橋「プロになるためのステップが僕らの頃とは違い、助監督から監督になるという時代ではなくなっていますよね。多くの自主映画の作り手が、尺や内容面で、最初から劇場で上映されることを意識して作品づくりをしているように思います。もちろんその中で凄い作品が沢山出てきているので、それはそれでいいこと。

一方、最初から枠に当てはめるようにして映画を作ることに関しては、それで純粋に面白いのかな?という気持ちもあります」

―――商業映画とは異なるインディペンデント映画ならではの表現、面白さがあるのではないかと。

高橋「僕個人としては、商業映画とは別の競技だと思ってやるべきだと思っています。先に出口を決めちゃうと大変だと思うんですよ。出来なかったら出来なかったで『ごめんなさい』と言って、振り出しに戻れるのが自主映画の良いところの一つだと思うので。助成金とか借りたらそんなこと許されませんよね(笑)」

廣末「先日、とある自主映画に参加させていただいたのですが、『こんな脆弱な機材にもかかわらず、出演していただき、ありがとうございます』と言われて、機材を見たらドローンとかまであって。僕らからしたらハリウッドですよ(笑)」

―――この20年で自主映画の機材もだいぶ変わったかと思います。

廣末「いや〜本当にびっくりして。僕らなんて照明って言ったら、電気スタンド1個でやっていたもんね」

髙橋「突っ張り棒にガンマイク付けて、『システムは一緒だ』とか言ってね」

廣末「そうそうそう(笑)!」

―――お2人はそれぞれユニット以外のお仕事もされていますが、群青いろでしかできないものが確実にあると思います。それを言葉で言い表すと、どのようなものになりますか?

髙橋「僕らはダークな題材を扱うことが多くて、それが特色だと思われがちなのですが、そうではなくて。『僕と廣末くんがいること』が群青いろの全てです。例えば本作の前半のようなライトで明るい部分も群青いろだと思います」

廣末「そういうことです。昔、高橋さんが自作の公開に関して『自分たちの交換日記をさらしているようで恥ずかしい』って言っていたんですけど、僕らの映画を観てもらうってことはそういうことなんですよね」

―――今後の作品も期待しています。ありがとうございました!

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