「自分が1番楽になる方法は、自分の心を慰めてあげること」
役を演じるなかで考えたこと
―――そういった役作りや乃愛を演じる過程で気づいたことはありましたか?
「彼女は、嫌だったという気持ちや人に言えない気持ち、隠したい気持ちをずっと奥底に寝かし続けてきた人だと思うんです。すごく優しいから、人を助けたり話を聞いたり、そういうことでなんとなく自分の気持ちを見ないようにしていた部分があるのかな、と。
だけどやっぱり自分が1番楽になる方法は、自分の心を慰めてあげること。乃愛が自分と向き合う時間を「ブルーイマジン(作中で乃愛が働くことになるシェアハウス)」で作れたことが最大の救いだと思うんです。
私自身も人には言いたくないことや隠したいことがたくさんあるタイプで(笑)。でも、そういうのは周りにはわかるんですよね。内容まではわからなくても、人はものすごく繊細に生きているから、この人、奥になんかあるなということが意外と伝わるんだということに最近気がつきました。
だから、そういうモヤモヤを自分のなかに置いておかずに出しちゃったほうが、手を差し伸べてくれたりする人がいるのかなと思って。気持ちを出すのはすごく勇気がいるけど、意外と自分が楽になる方法のひとつではあるのかも、というのは乃愛を演じていて感じたことでした」
―――山口さんご自身が、どなたかと接していてそう感じた瞬間があったということでしょうか?
「そうですね、4つ年下の妹がいるんですけど、例えばニュースの話をしているときに、思いもよらない答えが返ってくるんですよ。私は単純なほうなのでそのまま受け止めやすいんですけど、『これは嘘で、建前でそう言ってるだけだよ』とか(笑)。
ネットやSNSが盛んな時代だから達観しているのかもしれないですけど、年齢にかかわらずいろいろなものが見えている人がいることに気づいてからは、隠さないほうがいいなと思うようになりました」