「(乃愛が)救われたり前を向いて歩けたりする作品にしたい」
監督とのコミュニケーション
―――松林麗監督とはどんなコミュニケーションを取りましたか?
監督は私が作る乃愛をすごく信じてくださっていたので、特にこうしてくださいということはありませんでした。ただ、やっぱり一つの軸として、彼女が救われたり前を向いて歩けたりする作品にしたいということはずっとおっしゃっていたので、そうなれるように乃愛の感情の動きをどのように表現していくかということはお話しさせていただきました。
―――監督も俳優業をされているということで、演じる経験がある同士だからこそやりやすかったところも?
役者の仕事って正解がないし、体を使って表現するからこそ悩んでしまう部分があります。松林監督は内面のほうに特に寄り添ってくださいました。こうしてほしいと指示を出すというより、気持ちが動いたらでいい、と待ってくれている感じでした。
―――山口さんと乃愛の気持ちが重なるのを待ってくれるんですね。
待っていてくれるのもそうですし、見え方だけで話をしないというか、「こういう気持ちがあるからこそこう見せられると思うから、気持ちのほうをつくろう」みたいに、気持ちにアプローチをかけてくれました。そういうところが私にはやりやすかったですし、ありがたかったです。
―――今回の作品を観て、弱い立場の人が辛い思いをしてしまう場面はやっぱり多いんだなと考えてしまう反面、声を上げる勇気が湧いたり救われたりする部分もあると感じました。山口さんご自身は、この作品がどんなふうに伝わったらいいなと考えていますか?
誰しも壁にぶつかったり、悩んだりすることがあると思うんです。今回のテーマは性被害ですが、自分が直面しているもの自分が直面しているものとどう向き合って乗り越えていくか、みたいなものはみんなに共通するものだと思います。何かに悩んでいる人がこの作品を観て、少しでも共感できたり、救いになったり、前を向くきっかけになってくれたらうれしいですね。
(取材・文:あまのさき)
【関連記事】
「人間関係のなかで起こるカオスを楽しんで」 木ドラ24『痛ぶる恋の、ようなもの』主演・望月歩&共演・小川未祐インタビュー
「お芝居は正解がないから本当に難しい」Amazon Originalドラマ『沈黙の艦隊』出演・中村蒼、単独インタビュー
「役者業は人生そのもの」映画『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』出演・小倉史也、単独インタビュー